第18話 魔術語


魔法陣、魔術語をこの機会に改めてサラに教えていこうと考えるエミリー。


そもそも魔法の発動はいくつかの工程に分解でき、例えば≪水生成≫では

・必要となる魔力量、例えば10だけを体内から集める

・放出した魔力を水属性に変換する

・液体としての水を生成する

の大きく3つの工程がある。

これをそれぞれ魔術語で表すと「dedicare(デディカーレ)-decem(ディチャム)」「conversion(コンバールショナ)-attribute(アッテリブート)-aqua(アクア)」「aqua(アクア)-generate(ジェネラテ)」である。これにさらに効果を変化させるための修飾語や接頭語をつけることもある。

魔術語はアルファベットのような表音文字ではなく漢字のような表意文字であり、膨大な単語・文字があるため、自身が得意な分野のみを知っていることも仕方ない。

古代から忘れられてしまった単語・文字も存在し、遺跡から発掘されて発見することもある。


発動工程の魔術語を声にしたのが詠唱であり、魔術語のまま書き表したのが魔法陣である。ただ第1工程には使用する魔力量を表す部分があるため、もし紙や宝石などに書き込んだ魔法陣を使用する場合には、規模等の変更ができない。


魔法の上達においては、どうしてもこの魔術語や魔法陣の理解や正確な記憶が必要であり、特に上級以上の魔法使いが増えるための障害となっている。

サラの地頭は良いのでその障害はなく、まずはエミリー自身が得意な水魔法に関する部分から丁寧に教えていくことにする。


砕いた魔石を混ぜたインクで羊皮紙に書くことで魔導書やスクロールになるのだが、正確な記述を覚えるだけであるので、通常のインクで繰り返し練習をする。

もう少し魔法を上達すると、空中に魔力で魔法陣を記載する魔法の発動方法の練習と合わせて、魔力以外の消耗品のない練習方法もあるが、サラの現状ではこの通常インク練習となる。


短剣での発動効率の良さに慣れてますます効果が良くなる実訓練と合わせて、魔術語を含めた魔法そのものの学習、座学を並行して行うことで、今まで以上にサラは魔法使いとして成長することになる。

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