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「いくぞコラ!!」
オレ、マイル様は踏み込み、一気に間合いを詰めていく。オレの後方でナギが出方を窺っている。
敵は正体不明の縫い痕だらけの巨体グール。
「お前はフランケン・グールと名付けよう!!」
「……マイル、また余計な事考えてるだろ?」
背後でナギがジト目で睨んでくる。…マジメにやろう。
「来るぞ!!」
ナギの一声にオレは気を引き締め直す。フランケンが剣を振り下ろしてくる!正にフラン剣!
「おっとぉ!」
オレはそれを右に回避。もう二歩、踏み込めば…!!
「ウガアァァァアア!!」
「っ!!」
フランケンが左手に装備している盾で殴りつけてくる!!
「【フレアボム】!!」
「ガァ!!」
敵側面に回っていたナギが火球を放つが、フランケンはそれにしっかりと反応し、攻撃を中断して火球を盾で防ぐ!…でも…
「…こっちがガラ空きだぜ!!」
ナギの攻撃のお陰で開いた敵の正面に踏み込む!
大剣で一気に…
「下がれマイル!!」
「!!?」
気付いた時には、オレの右側面に敵の刃が迫っていた。
「くっそ!!」
咄嗟に後方に跳躍するが、躱しきれずにオレは斬り付けられた。
「ぐああっ!!」
「マイル!!」
態勢を崩され、オレは背中から落下。すぐにナギが駆け寄ってきてフォローに入る。
「【フレイムスロウアー】!」
「ゴガアアアァァァ!!」
ナギが炎を浴びせ掛け牽制。フランケンの野郎は盾で炎を防ぎつつ後退。その間にオレは態勢を立て直す。1/4程度のHPが削られた…まともに喰らってたらヤバかったな。
「大丈夫か!?」
「あぁ、ワリぃ…」
…ナギの牽制攻撃、合わせのオレの踏み込み……タイミングは完璧だった。だけどフランケンは反応してきた。…さっきオレとやり合ってた時より速くなってる?
「…ナギ」
「あぁ、奴にだけ集中しろ。他のアンデットとカバーは俺に任せろ」
さっすが、分かってらっしゃる。
「おっし……ふーっ…」
オレは息を吐き、フランケンに向き直る。ナギは後退し、再びオレの背後に位置取る。おし…いくぞ。
「ふっ!!!」
「ガアァ!!」
オレとフランケンは激しく打ち合う!
「くっ…」
剣と剣が衝突し、火花を散らす。
一撃一撃が重い!…敵の力に押されて身体が流れちまう!
「…にゃろ!!」
力で対抗するのは無理だ…受け流して…!
「しまっ…!!」
オレの移動先に合わせるかのように迫る盾!
動きを読まれた!?
「うがっ!!」
「マイル!!【ライトニング】!」
オレは盾で殴り飛ばされる!ナギがカバーに入り、魔法で牽制。コイツ、やっぱり…
「サンキュー、ナギ」
「大丈夫か?…」
「おう。…ナギ、コイツ……」
「あぁ…学習してるな」
やっぱりそうか…。
「ワリぃ、ナギ…もっかい行かせてくれ」
「…分かった」
オレは大剣を構え直し、大きく息を吐いた。
♦
マイルが剣を構え、息を吐く。マイル…やる気だな。しっかりフォローしてやらないと。
「………」
「【
ノノは二体の人形を器用に操り、アンデットの大群を相手に善戦している。問題は無さそうだ。…俺もこっちに集中しよう。
「…ふーっ……」
マイルがいつになく真剣な表情で、目前の敵を直視する。
「……っ!!」
キメラが動くと同時に、マイルも地を蹴った!
再び激しい打ち合いとなったマイルとキメラグール。
「ウウゥゥゥ…!」
「邪魔するな」
マイルの背後から近づいてきたスケルトンを、俺は火球で撃ち抜く。横槍は入れさせないよ。
「ガアァ!!」
「………」
キメラグールの振るった剣をマイルは上体を反らして躱す!
空を切る刃がマイルの頬を掠める。無言のままマイルは距離を更に詰める!
…マイル、かなり集中してるな。このままいけば…多分入るな。
「ぐっ!!」
マイルの間合いまであと一歩といったところで跳ね飛ばされるマイル。俺はカバーに入る。
「悪いナギ!10秒頼む!」
「了解!」
マイルと敵の間に割って入り、魔法を連発。キメラグールを足止めする。そして…
「おっけー、交代だ…」
そう言って再び前に出たマイルは、装備していた防具を全て解除していた。
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