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「どうして…村が壊れてるの?…」
「!…ルルア?」
声のした方を見る。そこにはノノと逃げたはずのルルアが。
「ルルア!どうして此処に!?」
「どうして…ルルア達をいじめるの?…」
「ルルア?…」
ルルアは目を見開き、ふらふらと近づいてくる。
「ルルア!こっちに来ちゃだめだ!」
「ルルアたん!!」
ルルアの後方から、ノノとリリアさんが駆けてくる。
「クハハ!自分から戻ってきてくれるとは、探す手間が省けたぜ!」
ザイがニタニタと笑う。ルルアが虚ろな目をザイに向ける。ルルアの様子がおかしい…この状況はまずいな…。
「どうして…ルルア達から奪うの?…どうして獣人族は…殺されなきゃいけないの!?」
「あ?……っ!!?」
「ルルア!?」
突然、ルルアから青白いオーラが放たれる。そのオーラは膨れ上がるようにどんどん大きくなり…
「…出て行って……村から出て行って!!!」
ルルアが叫び、それに呼応するかのように噴き出すオーラの勢いが増す。なんだ!?…何が起こってる!?
「おいおいガキ……なんだよ、そりゃ…」
ザイの表情が変わる。ルルアの変貌と
「どうしてルルア達に酷いことするの!?…耳が変だから!?尻尾があるから!?」
「ル…ルルア…」
「
「「「!!!」」」
ルルアが片手を空へと掲げる。ルルアの頭上に火球が形成され、見る間に大きくなっていく…。
「ルルア!?アレどうなってんだ、ナギ!?」
「分からない!だが…これは…」
「冗談じゃねぇ…あのガキ魔法を!?…」
ルルアが創り出した火球は空を覆い隠すかと思うほどに膨れ上がる!
「どうして…お父さんは……許さない」
「お、おいルルア?」
「マイル!!離れるぞ!!」
「【ファイア】」
ルルアが手を振り下ろす。その手の動きに連動し、巨大な火球が地に落とされる。
「ふっざけんなぁ!!クソガキ!!」
ドゴオオオォォォン―――
衝撃が伝わり、熱波が襲い来る!!
一早く駆けだしていた俺とマイルはなんとか炎の脅威から逃れたが…
「ぐあああぁぁあ!!」
「ぎゃああ!!!」
「うああああぁぁぁ!!」
炎に呑まれたシェンフールの男達が、光となって消滅していく。今の一撃で10人近くが倒された!?今までルルアが使っていた魔法とは威力が桁違いだ!どうなってる!?
「あっぶねぇ…ルルア、どうしちまったんだ!?オレ達までやられるとこだったぞ!?」
「分からない…だけどルルアの様子がおかしい。嫌な予感がする…止めないと」
「【エレクト】」
「「!!!」」
再びルルアが魔法を放つ!
上空から轟音を響かせながら雷撃が降り注ぐ!!
「ぐわあああぁぁあ!!」
「ひいいいぃぃっ!!」
更に複数人の男達が消滅。…!!
「調子に乗るなよ…ガキ」
ザイ、ファニ、ゴルトの三人がルルアを取り囲む。ルルアはまた掌を上空へと向ける。
「まずい!!マイル!!」
「おう!!」
俺達はルルアを助けようと、駆けだすが…その時だった。
「…っ!?う、うわあぁぁぁぁあああぁあ!!!」
「「!?」」
突然、ルルアが悲鳴を上げながら頭をかかえてしゃがみ込む。
「あ?……どうしたガキ?…まあいい、今の内に…」
「ああああぁぁああああああ!!!」
「「「!!!」」」
ルルアから発せられていた青白いオーラの勢いが更に増し、天へと延びる!
「ルルア!?」
ルルアの周りに黒い稲妻のような物が走ったかと思った瞬間、青白いオーラが黒色へと変化していく!
「ユル…サナイ!!」
ドス黒いオーラに包まれたルルアが、顔を上げた。
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