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「この世界には100以上の国が存在するが…どこの国の領土にも属さない、所謂いわゆる未開拓の地も多く存在する」



俺はマップを操作しながら話を続ける。



「まずは力をつけながらこの世界を旅して、俺達の拠点となる場所を見つけよう。この世界の政治事情や…いや、あまり先の話をしても仕方ないな。まずは俺達の拠点、ギルド本部を作ることが当面の目標だ」


「オレ達のホームか…いいね!上がってきたぁ!!」


「まぁその前に、ルルアをちゃんとクルド村へ送り届ける!これが最優先事項だからな」


「わかってるって!」


「…獣人族は差別の対象になりやすいらしくて、クルド村も外界との繋がりがほとんどない村らしい。俺達を見て警戒される可能性もあるから、慎重にな。出来れば、クルド村の人達とも友好な関係を築きたいと思ってる」


「そうだなー…ルルアを送り届けて、ただサヨナラってのも寂しいしな」


「ルルアたんとは…ずっと友達…」


「俺達の計画としても、友好的な人脈は多いに越したことはないからな」


「じゃあさ…」



その後も俺達の話し合いは暫く続いた。







「ナギ、そろそろ休めよ。サイクロプス戦で疲れてるだろ?今日の見張りはオレとノノで交代でやるからさ」


「…そうか?わかった、ありがとう」



時刻は12時を回り、マイルの言葉に甘え、俺は自分のテントへと入って休むことに。



「じゃあ、おやすみ」


「おう!しっかり休めよ!」


「おやすみ…ナギ」



俺はテントに入り、横になる。…確かに今日は疲れたな。明日からも忙しい、今日はゆっくり休ませてもらおう。


俺は目を閉じると、あっという間に寝入ってしまった。









『更なる力を求めるか、少年…』



だ…れだ?この声…どこかで…



『気に入ったぞ、少年。お前の創る国とやら…この世界に何をもたらすか、楽しみにしている』



頭がふわふわする…目が…開けられない。誰だ…何を…言っている?…



『お前の望み、叶えてみせよ…この力、使いこなせるか?少年…』



意識が…遠のいていく…













――――――――――――――――――

  ユニークスキルを習得しました

     ・【万能器ばんのうき

――――――――――――――――――





この時、静かに…だが確実にが動き出そうとしていた。


1人の少年の、今はまだ小さき想い、可能性が…この世界を大きく動かすこととなる。



その少年の目覚めを…いち早く察知した者達が、動き出す。







とある神殿…



「こ…これは!!」



台座にまつられる様に納められた、小さな鏡…。突如その鏡が強烈な光を放つ。



「神官殿!…これは!?」


「間違いない…、目覚めたか!…伝説が、再現される時が来る…」






とある城、王の間…



「……!!」


「ん?…どしたん?ルイン?」



部屋の中央…玉座に腰掛ける者。純白の髪に、赤い瞳…。



「…いや、何でもない。ただ…」


「ただ?…」


「また面白くなる…予感がする」






とある広間…



が目覚めたか…何としてでも探し出せ!!この世界に終末をもたらす者共を根絶やしにするのだ!!」


「「「はっ!!!」」」



広間に集まった大勢の者達の声が木霊こだました。





暗闇…



「あぁ!…遂に、遂にお目覚めになられた!私の主となられるお方が!…」



一切の光がなく、闇に閉ざされた空間に声だけが響く。



「お前達…のお方を探すのです!まだ目覚められたばかりで、か弱きお力…一刻も早くお傍にお仕えして、お守りせねば…」



暗闇から、いくつかの気配が消え失せる。



「あぁ!我が君!我があるじよ!…世界に変革をもたらす者よ!…早く貴方様のお姿を拝見したい!…」









激動の時代が、始まろうとしていた。

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