現実世界へ

92



センターギルド



「あ!戻ってきましたよ!ルルアちゃん!」


「え!?…」



俺達の視界は眩い光に包まれ、一瞬奇妙な浮遊感を感じた後、気が付くとセンターギルドの店内に立っていた。



「おぉー…これが飛翔石かー、なんかヒュンってなったな…」


「これは便利だな」


「ナギ!ノノ!マイル!」



ルルアが嬉しそうに駆け寄ってくる。うーむ…可愛い。



「おかえりっ!」


「ただいま、ルルア」


「ルルア!オレがボス倒したんだぜ!?オレが!!」


「ルルアたん…苛められなかった?…」


「苛めるとは人聞きの悪い…お主らはワシをなんだと思っとるんだ」



ハリスさんとマイネさんが俺達の方に歩み寄ってくる。



「おいおいじいさん!ルルアを泣かせたりしてねぇだろうな!?」


「…厳しく指導するまでもないわい。この嬢ちゃんは、本物じゃ…ルルア、見せてやれ」


「うんっ!」


「「「?」」」



ルルアは小さく深呼吸し、目を閉じる。ルルアの手が淡い光を放ち始め、それが掌の上で集まり、小さな白い光球を作り出した。



「お…なんだそれ?」


「魔力だよ!…ハリスおじいちゃんが教えてくれたのっ!」


「まったく…とんでもない成長スピードじゃよ。たった数時間で魔力球を作れるほどに魔力のコントロールをものにするとは…」


「へぇ!凄いなルルア!!」


「楽しそうなルルアたん…無敵…」



ノノとマイルに撫でられ、気持ちよさそうに目を細めるルルア。ほんと…笑顔を見せてくれるようになってくれて良かった。



「ところで、依頼の方もご苦労じゃったな。お前さんらには、ちと簡単すぎたかもしれんが…」


「いえ、スキルや立ち回りの確認も出来て丁度良かったですよ」


「うむ…報酬を受け取れ。マイネ…」


「はい。それではナギさん、あちらで報酬受け取りの手続きを…」


「はい!」



俺達はクエストの報酬を受け取ると、ルルアを連れて宿屋、月跳ね兎へと向かった。









「ハリスさん、どうでした?ルルアちゃんは?」



四人の背中を見送りながらマイネが尋ねる。



「末恐ろしい子じゃ…今後どう成長するか、楽しみじゃわい。それに、あのナギという小僧……」



謎の力で様々な能力を使い分けるナギと、稀代きだいの魔法の才に恵まれた少女ルルア…この二人が出会ったのは偶然か?……転移者ストレンジャー現地人ドラフト…これはまるで……のような…



「…ハリスさん?」


「…いや、なんでもないわい。仕事に戻るぞ、マイネ」





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