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「うおおぉぉぉおお!!捻り潰してやる!!」


「!!」



ガザックが戦槌ハンマーをマイルに振り下ろす!



「重っ…すぎるっ!!…」



マイルが大剣で防ぐが、ガザックの力に押し負け、地に膝を着ける。


【バトルテンション】で身体強化を施し、何とかガザックに喰らい付いていたマイルが、攻撃を弾き返せない!…おそらくガザックが発動したスキルも身体強化系のスキルだろう。このままだとマイルが危ない!



「ノノ!ガザックを叩け!!」



ノノが人形ミハエルを操り、ガザックを側面から狙う!



「あぁぁぁ、じゃぁ撃つわぁ」


「!!」



ブレングスが、ガザックに押さえ付けられ身動きの取れないマイルに矢を二連射!マイルの背中に突き刺さる!!



「うっ…!?ぐ、ぐああああぁぁぁあぁぁあああ!!!」


「マイル!!?」



ノノのミハエルがガザックに飛び掛かるが、ハンマーで弾き返される。



「う…あ゛あぁぁぁあ!!」



マイルの様子がおかしい!?…

この世界でダメージを受けると、攻撃を受けた瞬間は鈍い痛みが走るが、その後直ぐに痛みは引く。


だが、マイルは未だに苦しむ声を上げている…

背中に刺さった矢は既に消失しており、ステータスを見てもHPは多少削られているが、毒などの状態異常表記は見られない。何が起きてる!?



「マイル!!」



俺はマイルに駆け寄る。



「やーっと隙を見せたなぁ!!」


しまっ…


「!…うわああぁぁぁああ!!!」



ブレングスの矢に肩を貫かれた!

なんだ!?…これは!!!


焼けるような激痛が俺を襲う!

こんな痛み、今までこの世界で受けた攻撃には感じなかったぞ!?



「ほらぁ、もういっちょおぉ!」


「あ゛あぁぁぁあ!!!」



ブレングスの追撃が、俺の左の腿を貫く!

足に走る激痛!俺はあまりの痛みに倒れ込む。



「ナギっ!!」



ノノが駆け寄ってきて、ブレングスが放ってきた第三射をミハエルで打ち落とす。



「痛いかぁぁ?痛いよなぁぁ?…イタイイタイぃぃぃ!」


「おいおい、ブレン…1人で楽しんでんじゃねぇよ」



ガザックとブレングスが並び立つ。冗談じゃないぞ、なんだこれは…痛みで思考がまとまらない…。



地に伏せる俺とマイルを庇い、ガザック達と対峙するノノ。ようやく痛みが引いてきた…ノノの加勢に回らないと!



「テメェ…何しやがった…」


「何かのスキル…か?」



立ち上がり、警戒態勢を取る俺達。



「こいつのおかげだよぉぉ!」



ブレングスはツールボックスを開き、紫色の液体が入った小瓶を取り出す。



苦痛薬くつうやくぅう!…俺の矢にはこいつが塗られているんだぁ!」


「苦痛薬!?」



俺はブレングスの持つ小瓶を注視。


―――――――――――――――――

  【苦痛薬】

 武器に塗って使用する。

 この薬が塗られた武器で攻撃すると、

 対象が体感する痛みを増大させる。

―――――――――――――――――



「一家に一つ、苦痛薬ぅ!しぶといアナタに、より現実的リアルな痛みをお届けします!…ヒャヒャヒャ!」



何だ…そのアイテム!?

攻撃力の上昇や状態異常効果を付与するようなものではなく、相手が感じる痛みを

強めるアイテム!?



「意味が…わからない…」


「ナギ?…」



人の痛覚に作用するアイテム?…存在価値がわからない!


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