30


「ギ…ギ…ガガ」



良かった正解…だったな。



「電池切れ!?どういうことだよ!?」


「多分、コイツはコアにエネルギー…このファンタジー世界に合わせて言うなら魔力、かな?。とにかく、コアに魔力をため込んでいて、それを消費して回復や魔法攻撃を行っていたんだと思う」


「なるほどっ!それで電池切れ、か」



「そ、後は残ったHP削り切れば勝てる!」



突然、ゴーレムが腕を振り回しながら突進してくる!



「おっとぉ!!」



俺とマイルは躱しつつ、一撃を加えて離れる。勢い余ったゴーレムは壁に激突。隙あり!!



「【瞬進斬】!!」

「【炎剣】!!」



チャンスを逃さず追撃!…よし、やっぱり回復は出来ないみたいだな。



「ガガアアアアァァアア!!」


「!!」



最後の抵抗か、ゴーレムは腕を振り回しながら突進。



「あっぶね!!」



俺とマイルはギリギリこれを回避。しかしゴーレムはそのまま後方にいたノノに突っ込んでいく。ノノのミハエルが迎撃すべく、構えをとる…



「あ…」



不意にノノの指から伸びていた光の糸が消え、ミハエルがパタリと地面に崩れ落ちる。【人形劇ドールアクター】の効果が切れた!!



「「ノノぉ!!」」



無防備になったノノにゴーレムが接近!フォローに回ろうと俺とマイルが駆け出すが…間に合わな…



「いけ!ミハエル!君に決めた!!」


「「は?」」



ノノが人形を拾い上げゴーレムの頭上高くへと放り投げる。何やって…



「【巨大化エキスパンション】」



空中に放り出されたミハエルが巨大化。ゴーレムが頭上を見上げ動きを止める。



「【硬質化アイアン】」

「!!」


巨大化したままミハエルは金属へと変化。巨大な金属の塊となったミハエルがゴーレムの上へと落下する!



「【鉄人形注意報アイアンメーデー】!!」



大きな衝撃音と共に巨大鉄人形こと、ミハエルがゴーレムを押しつぶした!!



「ガ…ガ…」



ゴーレムの体は崩れ落ち、消滅した。



「ふー、危なかったっ」


「「………」」



ほんと、とんでもねーな。俺とマイルは茫然とノノを見つめる。

ゴーレムとの戦闘のリザルトが表示される。レベルは23に上がり500Gを獲得、だがアイテムドロップは無し…意外としょっぱいな。マイルは何やらスキルを習得したようで喜んでいるが…。



「お?」



小さな振動が足に伝わる。固く閉ざされていた扉の模様が光を放ち、ゆっくりと開かれた。



「開いた…な」


「頼む、出口であってくれー!!」


「ノノ、お腹すいた…」



確かに…今まで興奮状態であまり感じなかったが、戦闘続きで溜まった疲労感と空腹が急に襲ってきた。


俺はツールボックスを開いて時間を確認。15時20分…ギガントワームの巣穴に落っこちたのが9時過ぎくらいだったと思うから、実に6時間はこのダンジョンを彷徨っていることになる。そろそろ限界だよなー…。



「よし、とにかく中を確認しよう」



俺達は恐る恐る開かれた扉をくぐる。



「「「あ!!!」」」



何の変哲もない部屋。その中央には高級そうな宝箱が。



「「…うん」」



ノノとマイルが顔を見合わせて頷く。なんだ?



「ま、今回はじゃんけんは無しだな」


「え?」


「ナギのお陰で、突破できた」



二人がほほ笑む。



「いやいや、それを言うならノノの方が活躍してたし、マイルがいなかったら俺の作戦も…」


「いーからいーから、貰っとけって」


「ナギいなかったら、最初のカマキリの時点で詰んでた…いいから大人しく開ける」



二人が俺の背中を押し、宝箱の前へと押し出す。



「…わかったよ、ありがたく貰っとく。ありがとうな」



俺は宝箱を開いた。



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    アイテムを入手しました

  ・黒羽の剣(レア度B)×1

  ・付魔のコート(レア度B)×1

 

  5000Gを入手しました

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