地下迷宮〈ダンジョン〉

18


さて、俺達は巨大芋虫に追い立てられ、ダンジョンへと突入してしまったわけだが…



「結構長いなー、この通路」


「ノノは早く魚が食べたい…」



俺達はぼんやりと光を発する石の通路を進んでいた。ここまで特に何もない、敵が現れることもなく、トラップがあったわけでもない。


街を出て二時間以上が経っている。なんか俺もお腹すいてきた…かも。いやいや、気を抜かないようにしないとな。



「お!あれ!」



急に開けた場所にたどり着く。四角い部屋のようになっており、石の扉がひとつ。その他には特に何もないが、石の扉の前にポツンと置かれた革の袋。



「なんだ、これ?」



俺は革の袋を拾い上げる。すると袋は消滅し、代わりにポップアップが表示される。




―――――――――――――――――――――――

アイテムを入手しました。 

・火炎瓶 × 2  ・HPポーション × 3  

・MPポーション × 1 ・閃光弾  × 1  

・冒険家のメモ                

―――――――――――――――――――――――


「お、なんか色々手に入った!…冒険家のメモ?」



『冒険家のメモ』というアイテムをタップすると、その中身と思われる文章が表示され、読むことが出来た。



「なんて書いてあるんだ?ナギ?」


「えーっと…『ワームの巣穴に古代の遺跡を発見する。中は昆虫種のモンスターの巣窟となっているようだ。最深部に器を返還した。ここに物資を置いていく。後に続く者たちの助けとならんことを祈って。……冒険家ジョン』だってさ」


「おほーっ!イベントの匂いがするなぁ!!」


「遺跡…お宝っ、大金持ちっ…!」



うん…まぁ、まだ俺達が挑めるレベルの物ではないと思うけどな。とはいえ、引き返す道も無いのだけれど。



「とりあえず進むしかないけど、今の俺達が戦えるレベルのダンジョンじゃないと思うから、安全第一の脱出優先だからな…」


「「あいあいさー!!」」



返事は良いんだが、分かってるのか分かってないのか…

俺は小さくため息を吐いた。



「まあ、心配してても始まらねぇ!入っちまったものは仕様がねぇ!行くぞ!二人とも!!」



マイルが意気揚々と扉の前に踏み出すと、小さな振動と共に石の扉が開いていく。



「待て待て…これ持っとけよ」



俺は二人にHPポーションを1つずつ送った。ツールボックスの使い方もだいぶ慣れてきたな。



「お、さんきゅー」


「ナギ…ぐっじょぶ」



俺達は石の扉の先へと踏み出した…。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る