EP.4 従姉妹は不安
「お兄ちゃんが他の女の子と仲良く話してる…」
斐音は見てしまった。颯と仲良さげに話す女の子を。
「お兄ちゃん…あんなに楽しそうに…」
私とデート中なのに他の女の子とあんなに楽しそうに…。
私はお兄ちゃんが好きだ。
けどお兄ちゃんは私のこと好きなの?
お兄ちゃんは私のことどう思ってるの?
私はお兄ちゃんの、なに…?
「うぅ…お兄ちゃんの、バカ…!」
胸が痛くて、苦しくてその場にいられなかったので走って逃げた。
斐音はある場所へと向かった。
◇◇◇◇
「あれ?あれ従姉妹ちゃんじゃない?」
「ん?」
友達に言われてその方を見ると斐音がどこかへ走っていた。
「あっ、もしかして私といたことで勘違いしたのかも…」
「勘違い?」
「ほら私が君の彼女だと勘違いしたんだよ」
「なんで勘違いされるんだ?」
そう返すと友達は深いため息をつき、「これだから鈍感は…」と呆れ気味に呟いた。
「とにかく追いかけなよ…。じゃないと今までの努力が無駄になるよ?」
「う、うん…。ごめん、またね」
「うん、結果教えてねー」
こうして僕は斐音を追いかけに走った。
◇◇◇
「はぁはぁ…。もし、斐音が勘違いしたら…」
僕は今、高校生で斐音は中学生。この差が原因で斐音の両親、特に父親から斐音が高校生になるまで付き合うことは許さないと釘を刺されていた。
きっと僕と斐音のことを思ってだろう。
加えて成績に関しても上位十位以内をキープしないといけないという条件も出された。
大事な娘を預ける立場だ。学業を疎かにしている彼氏などには預けていられないのだろう。
僕は斐音が好きだ。
可愛い妹としてじゃなくて一人女の子として好きだ。
今日見た夢はもしかしたらこうなる展開のために見たかも。
子供の頃のたわいない結婚ごっこ。
あの時の僕はごっこじゃなくて本当に結婚したいと思っていたと思う。
だからあの向日葵のピン留めをあげたんだ。
普通なら斐音がとこに走って行ったか見当がつかないだろう。
しかし、僕の頭に浮かんでいる場所は一つしかなかった。
「待ってろ、斐音…」
これから、伝えにいくから…
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