小木原 見菊子

仔猫

 狭いガラスの箱の中で、仔猫が休んでいた。

 ふわふわの灰色の毛の先には、一ミリ程の水の丸い粒が二、三粒、仔猫の呼吸に合わせて上下している。水の粒は店内のオレンジ色の光や、カラフルなクリスマスの装飾の光を反射して、猫の呼吸に合わせてきらきら光っている。

 手のひらに乗りそうな灰色の丸い毛玉は、穴が開くくらいに見つめていても起きる気配はない。

 隣のガラスの箱の中で、毛の長い猫が丸いおもちゃに夢中になっていて、興奮のあまり大きな鳴き声を上げた。

 灰色は少しだけ頭を上げて、よちよちと伸びをして、ガラスの箱の隅にある小皿の匂いを嗅ぎ始めた。

 中に入っている赤茶色のクローバをカリカリと音を立てて食む。一粒、二粒、三粒。灰色の動きに合わせて、わき腹に付着した水の丸い粒が、きらきらと反射を繰り返している。

 食べ終えて、ぺろぺろと舌を出し、仔猫は顔を舐めるが、わき腹についた光の粒を舐めない。

 三粒の水の粒は、オレンジ、赤、黄色、緑にきらきらとしている。

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