ある日、嫌われているはずの妹から「セックスしよ♡」と言い寄られたのだが……?

黒猫(ながしょー)

第1話 プロローグ【改稿済み】

「お兄ちゃんセックスしよ?」


 午後十時過ぎ。

 寝る前に日課となっている勉強をしている最中。

 唐突に自室のドアが開いたかと思いきや、下着姿の妹がそんなことを口にしていた。

 工藤桜……俺の妹にして、今年高校に進学したばかりの十五歳。

 見た目は薄い茶髪にツインテールと触覚。顔は綺麗に整っており、スタイルもモデル並みに抜群。布一枚となったおっぱいもそれなりにある。

 クラスではほぼ中心人物に属しており、人当たりもよくて、人懐っこい。小悪魔的な妹ではあるが、今までは俺のことを陰で「キモい」だの「死ね」だのさんざんと罵っていた。

 それなのになんだよ。いきなり部屋に入ってきて……。

 俺は状況といい、言葉の内容に理解が追いつけず、口を半分開いた状態で呆然としていた。


「お兄ちゃん……」


 桜はそんな現状もお構いなしに頬を赤くしながらとろ〜んとした表情でどんどんと近づいていき、俺をぎゅっと抱きしめる。

 顔のところにちょうどおっぱいが当たり、その感触と匂いを感じつつも、俺はなおさら混乱してしまう。

 そして、どうにか我に帰ったところで俺は強引に桜を引き剥がした。


「ちょ、ちょちょちょっと待て……! 桜、俺のこと嫌いだったんじゃないの?」


 そう訊ねると、桜は大きく首を横に振る。


「ううん、嫌いじゃないよ? むしろ……大好き♡」

「……は? え?」


 わからないわからないわからないわからないッ!

 何がどうなってるんだよ!?

 これまでは嫌いなフリをしていたということなのか?


「桜ね、今だから告白するけど、本当はお兄ちゃんのこと昔から好きだったの。優しいところとか、顔もだし、何もかもが愛おしくて……。でも、だんだんと成長するにつれて、お兄ちゃんのこと好きだなんて恥ずかしくて周りには言えないでしょ? だからその間はずっとお兄ちゃんのパンツの匂いを……グヘヘ♡」


 桜の表情は完全に溶け、口元にはヨダレさえ垂らしている。


「……って、お前だったのかよ?!」


 どのくらい前からだっただろうか……。

 以前からこの家では俺のパンツだけが妙に行方不明になることが多く、神隠しにでもあったのか、誤って捨てちゃったのどちらかだと思って、あまり気にしてはいなかった。

 が、まさか桜の仕業だったとは……。

 ちなみにこれまで無くなったパンツの数はおよそ三十枚。それが全部桜の部屋にあると想像すると……少しゾッとしてしまう。


「そうだよ? でも、今はそんなことどうでもいいの」


 パンツを長年盗まれてきた俺からしてみれば、どうでもよくない話だが……ひとまずここは何も言わないことにした。


「桜ね、パパとママが転勤になって二人暮らしになったでしょ?」

「あ、ああ……」

「これまで通りに生活していこうって、最初は思ってたんだよ? 兄妹間で恋愛なんて誰が見たっておかしいし……」

「……まぁそうだな。実の兄を異性として見るのは一般常識的に誰が見たっておかしな状況だと思う」


 俺は腕を組みながらうんうんと頷く。


「でもね、桜もう自分の気持ちを抑えられないのっ! 兄妹だからって恋愛対象にならないのはおかしいと思わない!?」

「思わねーよ!」

「愛さえあれば問題ないよねっ☆」

「愛があっても問題大ありだわ! そもそも世界的に見ても兄妹間での恋愛を認めている国なんてほとんどないぞ? だいたいの国がご法度みたいなものだし……」


 というか、実の兄妹間での恋愛を認めている国なんてそもそも聞いたことがない。

 それを知った桜はガーンといった感じでわかりやすく項垂れる。


「そんなの……そんなのおかしいよ! なんで他人に恋愛の自由を奪われなきゃいけないの!? 誰を好きになろうがその人の勝手でしょ!?」

「う……うん、まぁ……そうれはそう、なんだけど……」


 俺は頬をかく。


「じゃあ桜はお兄ちゃんのことが好きですっ! 付き合ってくださいっ!」

「なんでそうなるんだよ! アホか! 若干キレ気味な告白なんてあってたまるか!」


 俺は椅子から立ち上がると、桜の両肩をがしっと掴む。

 その瞬間、何を期待したのか、桜の瞳がぱぁ〜っと明るくなり、まぶたをゆっくりと閉じる。

 俺はそんなことは気にもとめず、桜をくるんと半回転させ、そのままドアの外へと押し出した。ついでに鍵も忘れずに。


「お、お兄ちゃん?! なんで? こんな可愛い妹がセックスしようって言ってるんだよ!?」


 桜はドンドンとドアを叩きながら、慌てふためく。

 ――これは……話したところで無駄だろうな。

 あの状態だといくら説明したところで平行線のままだと思う。俺がいくら兄妹間での恋愛を認めないと言っても、桜は好き好きと言って迫ってくると思うし……。

 そう結論づけた俺は、勉強を切り上げてそのままベッドの方へと向かい、布団の中へと潜り込む。

 たぶん夢、だろう。

 あの妹が俺のことを好きなわけがない。そういや、最近ずっと勉強とかでいろいろと疲れてたもんな。その疲労感がマックスに達してこんな変な夢を見させたに違いない。

 次、目を覚ます頃にはいつもの日常が戻っているはずだ……。

 どうせ夢を見させてくれるのなら……もっと違うものがよかった。例えば、美少女複数人とセックスとかさ……。よりによって妹とか……神様のいじわるっ!


【あとがき】


投稿遅くなってしまいごめんなさい!

ついに新作の投稿が始まったわけですが……まぁ気ままにがんばります。


まぁ……1〜3話読んだところで面白くないと思いますけど……だいたいそこまでが本当のプロローグですしね。


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