俺の青春と日常の4分の2は幼なじみでできている
たまご豆腐
プロローグ
青春ってなんだろう?
一般的には文化祭や体育祭、球技大会に友達や恋愛、中には青春の文字や青春の始まる入学の季節から春と答える人もいるだろう。
だが、その全てに共通して言えることは学生生活の中にある物だと言うことだ。
「居たっ! 蒼ちゃーん!」
けど、俺の青春はそれだけじゃない。
「紫音、そんなに慌ててどうしたんだ?」
「はぁはぁ、家に行ったらいなかったから……」
じゃあお前の青春は? と聞かれたら俺は迷わずにこう答える。
「あぁ、そういう事ね。今日は日直だからいつもより早めに出るって昨日言っといたろ?」
「そ、そうだった……」
俺の青春は……
「それにいつも言ってるだろ? わざわざ毎朝一緒に登校する必要もないって」
「そうなんだけど、これがもう習慣ずいちゃってるから、今から変えるのも難しいよ」
「まぁ、それもそうか」
「そんなことより、早く学校行かないと日直の仕事終わらないよ!」
「あ、ちょっと待てよ紫音! 走ったらまた転ぶぞー!」
その半分が幼馴染であるこいつ、天宮紫音でできていると……
―――――――――――――――――――――――
現在、俺こと由良蒼詩は日直の仕事があるにもかかわらず朝から保健室へと来ていた。その原因はと言うと……
「痛ったぁ〜、朝から転ぶなんてついてないなぁ」
「はぁ、だから言ったろ。走ると転ぶって」
「ごめんね蒼ちゃん、日直の仕事あるのに……」
「本当だよ、全くもう」
まぁ、幸か不幸か走る紫音に着いて行ったおかげで時間にはかなり余裕があったし、これぐらいなら大丈夫だろう。まぁ、紫音が走らなければこんな事にもならなかったんだけどね……
「おっと、そろそろ行かないと間に合わなくなりそうだし俺は行くよ」
「うん、ありがとね消毒してくれて」
「紫音が不器用なのは知ってるからね。それじゃあ、HRまでには来るんだぞ」
「もう、それぐらいわかってるよ! 」
そうして俺は保健室を後にし教室のある2回へと向かった。
―――――――――――――――――――――――
俺が1年D組の教室に着くとそこには既に1人の生徒が登校していた。
「おう、遅かったな蒼詩。お前にしては珍しいし心配したぜ?」
「ごめん宏太、15分ぐらい前には着いてたんだけど保健室に寄ってたら少し遅れた」
教室に居たのは黛宏太、俺の前の席で中学の頃からの数少ない友達だ。
「保健室? どこか怪我でもしたのか?」
「いや、俺はしてないんだけど紫音がね。その消毒をしてて遅くなったって感じだよ」
「あぁ、なるほどな。相変わらず仲がいいのなお二人さんは」
「幼なじみだしこれが普通だよ。それより、残りの仕事は?」
「あぁ、後は水槽の水換えて餌やるのだけだな。優しい黛様がお前のためを思って残しておいてやった仕事だ、しっかりやれよ?」
「お前、よりにもよって1番めんどくさい仕事を押し付けやがったな……」
まぁ遅れた俺が悪いんだし仕方ないけど……にしても、こいつのこのニヤケ顔本当に腹立つな!
「あ、そう言えば」
「どうしたんだ急に? 間抜けな猿みたいな声出して」
「例え方酷くないか!? そんな声してないだろ!」
「それより、何を言おうとしてたんだ?」
「チッ、上手いように話逸らしやがってよ……何でもまたA組の櫻葉さんが告白されたらしいぜ? それも今回はバスケ部部長の夏木先輩から」
「……へぇ、そっか」
「おいおい、興味無しかよ。普通どうなったかとか気にならないか?」
「うーん、クラスも違うし普段もあんまり関わらないからな」
関わったとしても廊下ですれ違った時に軽く挨拶をするぐらいだ。それでも別のクラスの男女にしては珍しい方だろう。
「まぁそりゃそうだよな。普段あんな可愛い子と一緒にいれば他の女子なんて興味も示さないか」
「別に、そう言う訳じゃ……それで、その結果はどうなったんだよ」
「振られたってさ。結果だけ見ればいつも通りだけどあの人でダメなら誰が行けるんだって感じだよな」
「……そうだな」
「それに、断った理由がまた好きな人がいるかららしいぜ? 全くどこのどいつなんだろうな?」
こいつ、絶対にわざとやってるな……
「何故それを俺に聞く……」
「別に? ここにはお前しかいないんだしお前と話してるんだから普通だろ?」
クッ、言ってることがまともなだけに何も言い返せない……とりあえずこいつの顔は1発ぶん殴りたい!
「もういい、俺は水変えてくるから、他の仕事が終わってるなら日誌頼めるか?」
「おう、任せとけ」
その後、少しずつ登校してくる生徒も増え、8時をすぎた頃には既に半分近くの生徒が登校し今日も一日が始まろうとしていた。
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