第13話 魅惑の4連休! 〜⑥最終日(前編)〜

7月24日。午前9時。


勉強会の一行は今日は葵の家…ではなく、とある海の家にいた。なんでも葵の叔母がこの海の家のオーナーであり開業がコロナの関係で延期したため来ないかと誘われたからであり、アキと玲は互いに互いを葵の部屋に入れさせないよう画策していたため、ちょうど良くもあった。


「次席。ここまで来て勉強するとかおかしくないか? ここはパーッと遊ぶべきっしょ!」

海の家の窓辺に立ち、大きな伸びをしながら玲は言う。


「それじゃ僕来た意味ないじゃん笑 先生役なのに。それに古賀君はまだ宿題があるだろう?7月の間に終わらせないと。井上先生に報告しないといけないし。」

玲の右隣に立って、頬杖をついて副島は答える。


「げっ⁉︎ お前井上の手先だったのかよ⁈」

「まあ、そうなるかな?部活を休ませる代わりに内容と結果を教えてくれと言われててさ…ごめんね、隠すつもりはなかったんだけど」


この野郎と玲は副島に右手で軽くグーパンする。


「あれ?副島と古賀ってこんなに仲良かったけ?」


2人が振り返ると、少し離れたところに葵とアキの姿があった。


今日は午前中は勉強、お昼食べてしばらく勉強してから海水浴という流れだ。そのため彼らも彼女らもまだ服を着ている。


「2人で話す機会もあったしね。結構仲良くなれた気がするよ」


今日もまた柔和な笑みを浮かべて副島は答える。今日の副島は海水浴とのことでコンタクトにしている。眼鏡無しの彼は女子から密かな人気を博している。


玲とアキはそんな彼に葵が持っていかれないかヒヤヒヤしているが、当の本人は玲が好きなため、アキはそんな意味でもヒヤヒヤしている。


一行は部屋の中にある机の中の一つに自然と集まった。


「田中さん!今日はありがと!

まさか田中さんのおばちゃんがこんな場所を持ってたなんてなー」

「あっちょっと、古g」

「ヘーイ少年。誰がおばちゃんだって〜?」

「うわっ⁉︎」


奥の厨房から出てきたその人物は玲の背後から現れた。自分もこの場で食べるつもりだろうか、5切れのスイカと塩の小瓶がお盆の上に乗っている。


「葵から聞いたよ。4連休を利用して勉強会だって?偉いねー! これはからの差し入れだよ。の」

そういいながら「お姉さん」はテーブルの上にお盆を置き、各人の前にスイカ、真ん中に塩をおいていく。


(何やってんだ…古賀)

アキはそう思いながら玲をジト目で見ていた。


「紹介が遅れたな。私は佐藤梓さとうあずさ。葵の叔母だが27歳のだ!少年分かったか?笑」

「は、はい…あと僕は古賀玲といいます。」

「よし、じゃ君はアッキーだな!」

「あの、私は中村アキです」

「じゃ君はアーちゃん!」

「僕は副島郁実そえじまいくみです」

「じゃ君はいっくんだな!みんなよろしく!」


佐藤お姉さんはそう言い終わると、1番にスイカを食べ終わり、「勉強頑張りなよ!」と言い残して立ち去っていった。てか、君の下の名前「郁美」だったのか。覚えておこう。


「ごめんね、私の叔母さんキャラが濃くて…」

「大丈夫だよ。その分葵さんの可愛さが引き立つから」

「…へ?」

「…ん?…あっ!いやっそのこれは!えっとーその…あれだ!佐藤さんが横にいると葵さんがいつもの100倍可愛いと言うか…」

「こ、古賀君。自分で墓穴掘ってるよ」

「あんた暑さで頭イカれたんじゃない?」

「古賀くんそれはひどいよwww」

「…さっきのは忘れてください///」


玲が一人恥ずかしがる中、他の面々は笑った。


もうすぐ10時半。最後の勉強会が今始まる。

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