1 哀しみの荒野


 タルギンは、冷たい牢獄の闇の中で目を覚ました。

 ムルルアの劇場で、シェリンの世話人ギイレス・カダム殺害の容疑者として捕らえられ、取り調べらしい取り調べも受けられないまま、もう何日も縛られた状態で放置されている。外の月光も射さない暗い牢獄の中では時間の経過も分からず、捕らえられてから何夜が過ぎたのかさえ定かではなかった。

 床は堅く冷たく、身体のあちこちが軋むように痛んだ。しかし、そのこと自体は、タルギンには苦痛ではなかった。心の牢獄に比べれば、石の牢獄に囚われているほうが、寧ろ楽かも知れないとタルギンは思った。

 タルギンは、後ろ手に縛られた不自由な状態のまま床の上に身を起こした。そして、壁に寄りかかるようにして幾分楽な姿勢をとると、シェリンの事を考えた。

 シェリンは、歌姫として成功を手に入れた。舞台の上の彼女は誰よりも輝いていた。しかし、素顔の彼女は、決してそれを喜んでいるようには見えなかった。それは、彼女の過去の秘密の故であろうか。


 彼女の母親は、水原を漂っているところを商船に発見されたという。死んでいるものと思われたその美しい女は、共同無縁墓地に葬られる寸前に息を吹き返したが、記憶を失い、正気さえも失っていた。女は、鶏頭と呼ばれる置屋の元締めに売られ、花街の遣手婆やりてばばに売られてアケリナ・アディティと名付けられ、間もなく女の赤ん坊を産んだ。それがシェリンだ。母親は、遙かな夢の国から帰らぬまま、暗いストーレの夜、自ら胸を刺して死んだというが、真相は不明。

 花街を飛び出し、自らシェリンと名乗って、街角で歌いながら僅かな木戸銭で飢えと寒さをしのぎ、ギイレス・カダムに拾われ、ストーレ・パラオで歌うようになった。その間の詳しい事はタルギンも知らない。彼女が黙して語らない過去の事を暴くつもりはタルギン・シゼルには無い。

 ただ、タルギン・シゼルは気になるのだ。彼女の歌声も姿もなぜか懐かしい。もう姿も声も定かには思い出せないタルギン・シゼルの母親に似ているような気がするのは、思い過ごしなのだろうか。


 ―シェリンは何も悪いことはしていない。何故、ロウギ・セトは彼女を殺そうとしたのだ。


 タルギン・シゼルには、ムルルア公演の控え室での出来事が、昨夜の事のように思い出された。気を失って倒れているシェリンの胸に、銃口を向けていたロウギ・セトの、彫像のような端正な横顔。駆けつけたタルギンに向けた、星も月も無い虚空のような、或いはどこまでも深い水底のような、暗く青い瞳。そして、髪が風に靡いたように見えた瞬間、吹き消された蝋燭の炎のように姿を消した。


 ―ロウギ・セトは、再び彼女を殺そうとするのではないか? そもそもシェリンは無事でいるのか?


 鉄格子の外に人の近付く気配がした。

 看守だろうか。それならば、足下を照らす明かりくらい持っているはずだが。

 タルギン・シゼルは、壁を背にして床の上に腰を下ろしたまま、暗がりに瞳を凝らした。闇に慣れた目には、鉄格子の外に立つものの姿が、次第にはっきりと見えてきた。それは、看守などではなかった。


「何をしに来た」

 相手に冷たい視線を向け、タルギン・シゼルは言った。

「暫く見ない間に、一段と人間離れした風体になったものだな」

 相手は、にこりともせずにタルギン・シゼルを見ていた。

「ソウカモシレナイ。あるてぃまトノ融合ガ変エタノダロウ。以前ノ自分トハ心モ体モ変ワッテシマッタトシテモ不思議デハナイ。沢山ノ記憶ト名前ト情報ヲ、マダ十分ニハ消化デキテイナイ」

 そう言ったのはロウギ・セトに違いなかったが、別人のように見えた。

 声は酷く機械的な響きで、かつての流暢なウルク標準語を操っていた声とは微妙に違っていた。金色がかっていた髪は色を失い、金属的な灰色に見えた。瞳も同様で、わずかに青味を帯びてはいたが、やはり金属的な灰色で、冷たいと言うよりも虚ろに感じられた。タルギンが撃ち抜いた左肩は、金属の鎧のようなもので覆われ、それは、温もりを感じられない皮膚と違和感無く融合し、鈍い光を反射しているのだった。


「何を訳の分からん事を……俺を殺しに来たのか? 俺は唯一の目撃者だからな」

 タルギン・シゼルは、吐き捨てるように言った。

 なぜ自分は、得体のしれないロウギ・セトなどを信用してしまったのかと、相手を責めるよりも自分を許せない気持ちだった。

 ロウギ・セトが、やがておもむろに口を開いた。

「君ノチカラヲ借リタイ」

 タルギン・シゼルは、耳を疑い、変わり果てた姿のロウギ・セトを見やった。

 ロウギ・セトは、鉄格子越しにじっとタルギン・シゼルを見ている。

「俺の力を借りたい? 冗談だろう。シェリンを殺そうとしたお前に、どうして俺が力を貸すよ。それとも、もう殺したのか」

 タルギン・シゼルはせせら笑い、ロウギ・セトを見返した。 

「……しぇりん……アノ歌姫ナラ、うるくすとりあノ、ぬーる・うぇーぐ城ダ。歌ニヨッテ民衆ヲ反逆ヘト扇動シタトシテ、じぐどる・だざるニヨッテ収監サレタ。とるきる大公モ同様ニ捕ラエラレタヨウダ」

 ロウギ・セトは抑揚のない声で答えた。

 タルギン・シゼルは、驚きはしたが、顔に出すことはしなかった。

「……なるほど。で、その件にお前も関わっているというわけか」

「違ウ、関ワッテハイナイ。ダガ、君ハ信ジナイノダロウナ」

「当たり前だ」

 タルギン・シゼルは、再び吐き捨てるように言った。

 ロウギ・セトは、タルギン・シゼルの言葉には反応せず、思いもよらない言葉を口にした。

「君ハ、アノ娘ト、コノ世界全部ト、ドチラガ大事ダト思ウカ?」

「は?」

 タルギン・シゼルは絶句した。

「シェリンとこの世界全部とって、一体どういう比較だよ」

 ロウギ・セトは、静かに語り始めた。

「彼女個人ニハ何ノ恨ミモ無イ。‥‥シカシ、未来曲線ガ急速ニぜろニ向カッテイル。全テノ事象ガぜろトナル、即チ、ソレハ宇宙消滅ヲ意味スル。ソノ起点ガえらーらノ何処ナノカヲ、ズット探シテキタ。ソシテ、分カッタノダ。彼女ノ歌ガ宇宙消滅ノ引キ金トナルト。コノ宇宙ガ消滅スレバ、当然ナガラ彼女モ消滅スル。彼女ヲ消去スレバ、宇宙ハ存続デキル。選択ノ余地ハ無イ」

 ロウギ・セトの顔に表情は無く、声には抑揚も無い。その不気味さが、かえって真実味を与えているようにタルギン・シゼルには思えた。嘘だと思う一方で、ロウギ・セトは真実を語っているのであろうと。


「それで、この俺に、宇宙を救うためにシェリンを殺す手助けをしろってか?」

 タルギン・シゼルは、怒りを感じながら言った。何に対する怒りなのか、自分でも分からなかった。

「冗談じゃない。一体シェリンが何をしたって言うんだ。もし、本当に、シェリンが生きていることでこの世界が消滅するというなら、俺はそれでも構わないね。この世界が存続する事に、一体どんな価値が在るって言うんだ。皆一緒に消えちまうって言うのも目出度いじゃないか。そもそも、シェリンの歌が宇宙を消滅させるなんて、そんな馬鹿なことがあってたまるかよ」

 激するタルギン・シゼルに、ロウギ・セトは全く落ち着いたままだった。

「宇宙消滅ノ起点ハ彼女ノ歌。ソレハ間違イ無イガ、起点ト終点トヲ繋グモノガ何ナノカハ分カラナイ。シカシ……なーさてぃあガ言ッテイタ。アノ娘ノ持ツ“まな”ノ力ガ必要ダト。彼女ノ歌ハ、“まな”ノ力ヲ増幅サセル。なーさてぃあハ、ソレヲ狙ッテイル。伝説ガ真実ナラ、なーさてぃあハ、アノ娘ヲ使ッテ宇宙ヲ結晶化サセ、再ビらーいーニ納メヨウトシテイルノカモシレナイ」

「何の事やら分からんね。もしお前の話が本当だとしてだが、それなら、シェリンを恨むのはお門違いじゃないか。恨むならナーサティアの方だ」

「ソウダ。ナーサティアサエ押サエルコトガデキレバ、彼女ノ“まな”ノ力ハ発動シナイ。君ハなーさてぃあニ直接会ッテイルハズ。君ノ助ケガアレバ、アノ娘ヲ消去シナクテモ済ムカモシレナイ」

 しかし、タルギンは、ロウギ・セトの言葉を信じず、鋭い視線を投げた。

「お前の話は一応分かったが、ナーサティアをどうにかする方法なんて、俺は知らんよ。それに、ナーサティアがシェリンを利用しようとしているとお前は言うが、お前がシェリンを殺すのに、ナーサティアが邪魔なだけではないのか?」

「君ガドウシテモ信用シナイナラ仕方ナイ。シカシ、宇宙消滅ハ阻止シナケレバナラナイ。なーさてぃあノ計画ヲ阻止シ、までぃーらノ奥津城ガ目覚メルノヲ防ギタイ。ソウスレバ、いーらふぁーんノ巫女モ歌ワナイダロウ。ソノ為ニ、君ノ力ヲ借リル」

「俺に一体何をさせたいのか知らんが、マディーラの奥津城だの、イーラファーンの巫女だの、一体何の符号だよ。そんなもの、俺は知らんね」

「ソウ、全テハ符号。ダガ、君ニ説明スル必要ハ無イ。君ニ話ス気ガナクテモ、情報ヲ手ニ入レル」

 ロウギ・セトの身体は、鉄格子をすり抜け、タルギン・シゼルの眼前にあった。ロウギの光る指先がタルギンの額に触れ、その瞬間、タルギン・シゼルの意識は、遠い記憶の中に沈んでいった。




  星の輪よ、巡れ

  時の輪よ、巡れ

  輪廻の輪巡りて夢は繰り返す……


 タルギン・シゼルは、幼い少年であった。

 ソルディナの岩地の穴蔵の中で、遊牧の岩羊の番をしながら眠っていた。昼の間は岩羊クーヤも岩陰で眠っている。何処からか聞こえてくる歌声に、日覆い布を頭から被り、岩屋から顔を覗かせると、太陽の照りつける岩場の上に、シゼルは人影を見た。

 この暑さと乾燥の中で、あんな所に人がいるわけはないと、眩しさを我慢して瞳を凝らすと、人影がじっとシゼルを見ているのだった。それは、シゼルが今までに見たこともない風貌の人で、月風琴を携えて岩場に片膝を立てて座し、肩に零れる長い銀髪が、太陽の光を受けて透けてみえるほどに輝いていた。肌は赤銅色で、燃えるような朱金の瞳を向け、シゼルを手招きして呼んだ。

「シゼル、お前の母を捜している者がある。行って教えてやるがいい」

「嫌だ、ぼくは母さんムタアの居場所は誰にも教えない」

「いや、お前は教えるのだ。それがお前とお前の母の運命なのだから。そして、お前はこのソルディナを離れる。エルディナで、お前は別の人生を過ごすだろう。だが言っておこう。お前は、再びソルディナに戻り来るであろうと」

 その謎めいた人影は、更に光り輝き、本当に光の中に透け始めた。

「貴方は誰? 何故ぼくにそんな事を言うの?」

 幼いシゼルは、日差しの眩しさに目を覆いながら叫んだ。

「私はナーサティア。天空の神ヴィドゥヤーの目のように、全てを見通す者だと答えておこう」

 その声は、遠い海鳴りのように低く静かに響いた。そして、シゼルがもう一度目を凝らした時、その姿は何処にも無かった。

母さんムタア……」

 シゼルは不安になって駆け出していた。

 番をしなければならない岩羊クーヤの事など、頭から消え去っていた。熱い砂に足元をすくわれ、転ぶように身を捩りながら、シゼルは砂丘を登った。頭から被った日覆い布は、何時の間にか無くなっていたが、それでもシゼルは懸命に走った。砂丘を過ぎ、干からびた岩塩の原を横切って、母と隠れ住む岩屋の方へと走った。

母さんムタア!」

 幼い息子のただならぬ叫びに母は岩屋から顔を出し、駆け込むシゼルを両腕に抱き止めた。

「シゼル、どうしたの? そんな泣き顔で」

 母が優しく尋ねる。

「そんな所に隠れていたのか」

 背後からの荒々しい声。

 日除け布を被った辺境警備隊の男達だった。たちまち二人を取り囲み、シゼルの母を大きな布袋に押し込む。

母さんムタア!」

 シゼルは、気が狂う程の叫び声を上げ、追いすがったが、まだ幼いシゼルにはどうすることもできない。

「邪魔すると痛い目に合うぞ」

 シゼルは、殴られ、蹴られ、声も出せずにうずくまった。その目の前に、数枚の銅貨が放り投げられて散らばる。

「ほらよ、小僧。お前のお駄賃だ」

 辺境警備隊の男達が下品そうに笑った。

 動くことが出来ないシゼルは、布袋に押し込められた母が砂駝鳥ソリカの背に乗せられて連れ去られるのを、見ていることしか出来なかった。


 怪我をして動けずにいたシゼルを助けてくれたのは、高地民のパヴァ・ラスメルだった。パヴァは、母を追うというシゼルの決意に反対はしなかった。エルディナから逃げ、灼熱の死の谷で死にかけていたシゼルの母を助けたのもパヴァだと聞いていた。間もなく生まれたシゼルにとって、パヴァは父親同然の存在だった。パヴァは、まだ幼いシゼルの決意の目を見て、抜け道を教えて送り出してくれた。

 それは、“ツインギの裂け目”と呼ばれる狭く過酷な抜け道。“灼熱の死の谷”を渡った先のソラリア高原の岩盤に自然に出来た割れ目を、人一人がやっと通り抜けられる程に広げた悪路。光も殆ど差さず、頭上からは岩の破片が降り、足場は不安定。裂け目の順路を一つでも間違えれば、永遠に出られない迷路にはまって命を落とすことになる。靴は破れ、岩に掴まる手は傷ついて血だらけとなり、岩肌に擦られて身体を擦り剥きながら、シゼルはエルディナへの脱出に成功した。


 初めて見たエルディナの美しい町並み。明るい月の真昼に揺れる緑の木々、溢れる花、輝く水原カレルの水面、行き交う楽しげな人々、市場に溢れる果物……。しかし、瑞々しく豊かな宗主国ウルクストリアの街中に在ってなお、シゼルの心はソルディナ以上の砂漠だった。

 シゼルには、小さな身体を横たえる寝床も、冷えた身体を温める火も無かった。空腹とストーレの激しい雨音は、シゼルの心身を凍えさせた。それは、知らずにとは言え、結果的に大事な母を売ってしまった自分の、母に対するあがないの日々でもあった。

母さんムタア……」

 シゼルの胸に熱い痛みが走る。母が連れ去られたのは自分のせいだと。そして、怒りが込み上げた。その怒りが、母を連れ去った男達へのものなのか、顔も知らぬ父へのものなのか、それとも、己に対するものなのか、彼には分からなかった。

 それでも、シゼルは生きて成長していった。生き延びる為にあらゆる事をした。頼る人も物も無い少年にとって、確かなものは何一つ無く、信じられるものも守るものも己のみ。いや、もう一つだけ在った。母の穏やかな笑み、優しい子守り歌……。


 やがてシゼルは、母の死とその経緯を知ることとなった。謎の女ファアティに助けられ、シゼルの母がウルクストリアに連れて来られて間もなく、ストーレの最中さなか水原カレルに身を投げて死んだと知らされた。珍しいことではないが、遺体は流されて見つからず、墓も無いと。

 シゼルは間に合わなかったのだ。

 絶望の淵で、シゼルは、顔も知らない父を恨んだ。自分以外の誰かを恨まなければ、生きてはいけなかった。母が教えてくれた自分の本当の名前は、トルキル・デ・タウル・シゼル。タルギンというのは、自分で付けた偽名だった。

 見知らぬ街角の人込みの向こうから、白い顔がシゼルを見つめていた。

母さんムタア!」

 シゼルは叫ぼうとしたが、声は出ず、かすれた息が漏れるだけだった。寂しげな微笑みを浮かべたまま、その姿は、だんだんと遠のいていく。追おうとするが、人波に押され、近付くどころかますます離れていく。

 ふと気付くと、シゼルはソルディナの砂丘に立っていた。砂丘の向こうにぼうっと光るアルジーカの花の群れがあり、その中に白い人影が立っていた。黙ってシゼルを見つめ、もの言いたげな微笑みを浮かべていた。

「……母さんムタア?」

 しかし、蒼暗い月光の下で、髪の色も瞳の色も定かには分からなかったが、それは、シェリンだった。




 タルギン・シゼルが意識を取り戻したとき、ロウギ・セトの姿はなかった。

 縛られていた両手は自由になっていて、解かれた縄が、床に落ちていた。ロウギ・セトの、せめてもの償いのつもりだろうか。

 タルギンは、長い間拘束され堅くなった両手の筋肉を揉みほぐし、まだ膝と足首を拘束していた縄を解いてむしり取ると、思い詰めた顔で立ち上がった。


 ロウギ・セトが再びシェリンを殺そうとするなら、俺がこの手で守る。


 シェリンは妹なのかも知れないと、タルギン・シゼルは思った。絶望の淵でウルクストリアの水原に身を投げて死んだはずの母は、いかなる運命の悪戯か、或いは天の救いか、水原を漂い、救い上げられ、息を吹き返し、シェリンを産んだのかも知れないと。

 タルギン・シゼルは、牢獄からの脱出を決意した。ロウギ・セトの話がもし本当であるならば、シェリンはラダムナのヌール・ヴェーグ城に囚われている。だが、慌ててはいけない。街に出て情報を得なければ。

 タルギン・シゼルが捕らえられている場所は、アスタリア第三の都市ムルルア。ウルクストリアまでは遠い。イオラス港にあるはずの彼の=元は憲兵隊の=高速水上艇がどうしても必要だが、無事かどうか……。


 タルギンは耳を澄ませ、鉄格子の向こうにも通路にも人気が無いらしいのを確認すると、着衣の裾から細長い金属質の繊維を取り出した。鉄格子の1本にその繊維を当てて素早く動かすと、繊維の微細な粒子が、丈夫な鉄格子の棒を切断していった。

 微かな音を立て、鉄格子は切断された。

 タルギン・シゼルは、広くなった鉄格子の間から身を乗り出し、もう一度、周囲の気配を探った。


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