妖狐が鬼の子を拾った話
夜霧
気まぐれ
“化け狐”
“早く出て行ってくれないかな”
……あぁ。きちんと聴こえているんだがなぁ…人間共め。俺は確かに妖狐だが、一応でもここの守りだぞ。
そんなに出て行って欲しいのならばお望み通り出て行ってやるさ。
そんなこんなで、俺は村を出た。一応言っておくが、俺は九尾だ。つまり力は強い。人間の姿を取って生活していたのだ。
森の奥に進んでいくと、泣き声が聞こえた。もしや人間か?と思い近づくと、そこには滅びかけの鬼の村があった。泣いていたのは、人間ではなく、鬼の子だった。
「なぁお前」
「えっ…人間?なんで?」
鬼の子は俺の事を人間だと思っているようだった。
「違う。俺は人間じゃない。妖狐だ」
「よーこ。えっと、ぼくは、この村に住んでる鬼だよ。」
「この村は随分と廃れているようだが?一人でいたのか?」
「うん。だって、ととさま達は2日前に出たきり戻ってきてないから」
それは捨てられたのではないのか。ということは言わないでおこう。
「これからどうするんだ」
「うーん…ずっとここにいたら、多分人間たちに殺されると思うから、旅をしようかなって思ってるよ!」
驚いた。目の前のガキは齢8にも満たないであろうのに。ここまで考えられるのか。面白い
「なぁ坊主。お前、俺と一緒に来るかい?」
「えっ!いいの!?よーこさん!」
「あーそのよーこさんってのやめろ。妖狐は名前じゃねぇ。種族だ。俺の名前か…名前は、晴嵐だ。お前に術を教えてやるから師匠と呼べ」
というのは、ただの気まぐれだった。別にこのガキが着いてこなければそこまで。ただそれだけの話だ。
「せいらん…ししょー!よろしく!ぼくは眞仁!」
予想外。このガキは鍛え甲斐が有りそうだ。眞仁と名乗る鬼のガキ。俺はそいつと共に旅をし、術を教え生きていこう。そう決めた。
妖狐が鬼の子を拾った話 夜霧 @sakaki_shion
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