第3話

「またおかしな質問だ。 今は何年だ?」

「おかしな人ですね。 2100年ですよ。」

「ありがとう。」

 俺がそう言うと男は去っていく。

 変人とは絡みたくなかったのだろう。

 どうやら、2100年に来てしまったようだ。 どういう原理だ?

 分からない…

 酒場に寄ることにした。 何かおかしな気分だ。 酒を飲まないとやってられない。

 人間型のロボットが接客している。

 注文されたものはテーブルの下から出てくる。 カクテルを頼んだ。

 アルコールは弱く。 俺にはちょうどいい。

 酔うと気持ち悪くなる。 あの気持ち悪さが嫌だったのに飲みたくなるとは変な気分だ。

 ピーチとリンゴ味がする。

 人気ひとけがない。 妙に静かだ。

「なぁ、静かだが何かあるのか?」

「皆様、恐れているのです。」 ロボットは答えた。

「何を恐れているんだ?」

「地球が破滅する日だからです。 あいにく、ロボットですので恐ろしい、死への恐怖を持ち合わせておりません。 そういったものはどんなものなんでしょうか?」

「それはな… 人間しか持ち合わせない感じ方だからな。 どうってな… 怖いものは怖いんだ。 震えるだよ。」

「答えになっていません。 失礼しました。」

 ロボットは下がっていく。

 好奇心を持っているロボットのようだ。

 全く、ロボットに真面目に返してるんだ。

 今日が破滅する日。

 日にちは2100年12月30日。

 空が赤くなる。 雷はとどろく。

 店内のガラス越しに迫力は伝わってくる。

 ビル、住居が消えていく。

 映像と同じエネルギー波がくる。

 これに触れれば死んでしまう。

 エネルギー波の来た方向の真逆に走る。

 逃げろ、逃げろ。

 走るスピードより速かった。

 手がなくなっていく。 感覚がリアルだ。

 痛みはない。 ただ自分の体が消えていくのを見るだけだった。

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