238 敵の狙い②
「ヨワが狙いってどういうことですか! ヴィオレフロッグ家の者がこの子になんの因縁があるっていうんです。いい加減説明してくださいススタケさん!」
ススタケの腕をぽかぽか叩くシトネの顔は必死に見えた。心配されているのかと思うとヨワは落ち着かない。こんな時どんな顔をすればいいのかわからなかった。
「ミギリが頭冷やしてきたら全部話すよ。ルルの両親としてふたりには知る権利があるからな」
「ルル? どうしてあの子まで……」
胸を押さえたシトネの顔色はみるみる悪くなっていった。「失礼します」と立ち上がったシトネはダイニングのほうへ下がった。まだ半年弱だ。我が子を失った傷が癒えるにはあまりにも短い。窓も戸も閉め、春先から時を進めたくないと願うのは真の親の愛かもしれない。
「ススタケさん。バナードさんとジャノメさんの目的は違うんじゃないかな」
ヨワの提案をススタケは「というと?」と言って先をうながした。
「バナードさんは庭番をよく思っていなかった。だけどジャノメさんは王族やホワイトピジョン家に不満を抱いてる可能性があるんだよね? なら彼の狙いは庭番そのものではなく――」
「クリスタル!?」
ススタケが導き出した答えにユカシイは短く悲鳴を上げた。
「待ってください! クリスタルを失ったらコリコの樹は自分を支えられないんですよね!? それじゃ城どころかコリコ国がっ」
「コリコの樹が自分を支えられないってどういうことなのリン兄!」
立ち上がったリンを追ってスサビもまた突然知らされた事実に席を立った。
「コリコの樹の老衰はそれほど進んでいるのよ。ススタケさんをはじめとする庭番と、ホワイトピジョン家の浮遊の魔法をクリスタルで増強することで支えている状況なの。クリスタルを失ったらコリコの樹は沈み、国が……崩壊する」
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