199 ずっと忘れない①

「俺にはずっとヨワの鱗が不思議に見えたんだ。おとぎ話に出てくる竜や人魚と出会ったみたいな心地だった。俺もかっこいいと思うよ」


 こんなにうれしいことを言われたのははじめてだった。ヨワは浮遊の魔法にかかったみたいに身も心も軽やかに踊り出して、ぴょこぴょこと跳ねながらみんなが待つ砂浜に戻った。


「ヨワ遅いよ!」


 体当たりの勢いで出迎えのハグをしてきたのは大人姿のユンデだった。ヨワとリンが離れたあとしばらくはユカシイとスサビといっしょに砂の城を作って遊んでいたらしい。しかし城が完成すると同時に待つことに飽きたユンデは、持ってきていた大人の服を抱えて公共トイレで変身したそうだ。

 それをおもしろがったスサビと今度は一対一のビーチボールで奮闘していたが、ついにはそれにも飽きてしまった。大きい図体で母ウララのひざ枕でふて寝していたところだとオシャマが平然とばらす。

 そういえばユカシイとスサビの姿がない。


「ユカシイさんとスサビさんはシーグラスを探しに行きました」

「シーグラス?」

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