51 明日の予定②

 その申し入れに感謝を述べてロハ先生は受け入れた。次にヨワとユカシイに視線を移した先生が、なにを言うかなんてわかりきっている。ヨワはロハ先生が口を開く前に立ち上がった。


「私も行きます。ひ弱でおっちょこちょいな先生を残して帰れるはずがない」

「先輩が行くならあたしも行きますからね」


 そう言ってユカシイもつづいた。そうなるとヨワの護衛であるリンもついていくことになり、ひとり山小屋に残すよりは安心ということで、ダゲンもいっしょに行こうと話が持ち上がった。

 あれよあれよと決まりそうになった話に、ロハ先生が待ったをかける。先生はヨワに視線を定めた。


「ヨワ。きみは今大事な身なんだよ」


 ヨワも負けじと正面からぶつかった。


「先生。忘れてはいないでしょう。私の居場所をあなたが作ってくれました」


 中学校を卒業するとともに成人したヨワは、ホワイトピジョンの名前を取り上げられ、帰る場所を失った。周りの子たちの半分は結婚し、もう半分は専門学校に進む中、ヨワはお金もなく、どこへも行けなかった。そこへ声をかけてくれたのがロハ先生だ。

 もう二度と失いたくない。

 そのヨワの思いを汲み取ったのか、先生はそれ以上なにも言わなかった。


「ひとつ話がまとまったところでいいか。俺はここに残る」


 ダゲンの言葉に誰もが驚きの声を上げた。


「納屋に縛りつけてるやつらのこと忘れてるだろ、お前たち」

「しかしやはりひとりは危険です」


 そう詰め寄るリンに、ダゲンはからからと笑って力こぶをつくって見せた。


「山男をなめるな。それに明日の午前中には騎士がやつらを引き取りに来るだろ」


 リンはしばし顔を伏せて悩んでいるようだったが、最後はダゲンの言葉と筋肉を信じることにした。

 夕食のあと、ヨワとユカシイはダゲンにたいてもらったかま風呂に入った。男性陣にも勧めたが、ロハ先生もリンもバナードも、自分のにおいを嗅いでだいじょうぶだと宣った。信じられない。

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