第4話
そうこう考えてる間に先生が入って来た。
「席につきなさい。」
その一言で生徒が全員自分の席に戻っていった。
「今年2年B組の担任を務めます、佐伯瞳です。よろしくお願いします。」
その人は長い黒髪を一つに固めてくくり、おさげにし、白のカッターシャツの上に黒のスーツをはおり、薄い紫のスカートを履いて、その下からから綺麗な脚が見えている。
顔の方もかなりの美人さんだ。
そして進路指導の先生だ。今後高3になるにつれて進路も考えて行かなければならないし、とても都合が良い。
「このあと始業式があります。それまで教室で待っておくように。」
そう生徒たちに伝えると、職員室に戻っていくようだ。
先生がドアを開けようとした時、何かを思い出したようで、動きが止まった。
そして先生がおれの方を向いた。
先生と目が合う。新学期早々呼び出しとは、何か嫌な予感がする。
先生に呼び出されて進路指導室に行った。
ドアを開けると、正面に大きな窓があり、その前に幅1メートル程の机、左の壁には本棚に沢山の赤本や、大学のパンフレットが並べられていた。右の壁にはどこの誰が描いたのかは知らないが、向日葵の絵が飾られている。そして目の前にパイプ椅子が置かれていた。先生はと言うと、窓の外を眺めており、その姿はまるで光に照らされた女神のようにも見えた。
「そこの椅子に座ってください。」
振り向いた先生は俺に向かってそう指示した。
「なんの御用でしょうか。新学期早々呼び出されるほど、僕は何か悪い事しましたか?」
そう聞きくと、
「そんな話ではないわ。あなたに頼み事があるの。」
先生が真剣な顔で俺を見つめる。こんなに綺麗な人に見つめられると少し照れてしまう。
こんなところでコミュ障な自分が出てしまう。本当に情けないと思っている。
「頼み事とは?」少し顔を反らし言葉を返す。しかし返ってきた言葉を聞いてすぐにまた先生の顔を見る事になる。
「有栖川瑞穂さんの事についてなんだけど。村上君、有栖川さんの友達、いいえ、恋人になってくれないかしら。」
俺はこの言葉を聞いた時に3秒ほど思考が停止してしまった。
その後、口から出てきた言葉はやはり、
「えぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」だった。
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