第1話
どうしてこんな事になったのか、
事の始まりは、4月の新学期から話さなければならないようだ。
4月、咲き誇る桜も散り始めた頃、高校2年生としての学校生活が始まった。
「祐くん、ま〜だ〜?」
自分の部屋の窓の外から聞こえる少女の声は、3歳の時に引っ越してきたお隣さんの一人娘、山田蒼。幼稚園からの幼馴染である。そして高校も俺と同じ所が良かったらしく、お世辞にも、彼女の頭はそんなに良くないが、難関私立高校に補欠合格でなんとか入学する事が出来た。
「その時は泣いて喜んでたっけな、」それからももうすでに、1年以上の月日が流れる。
「今行くよ!」二階の自分の部屋の窓から大きい声で返す。
彼女は笑顔で手を振る。
「久々の早起きは眠いなぁ。」あくびをしながら階段を降りる。
「お兄ちゃん、行ってらっしゃい。」
俺の妹、村上雪だ。
一昨年の両親の出張により、二人で暮らす事になってから、料理、洗濯など全てしてもらっている。ただ、去年中学2年の時に、ちょっとしたきっかけからクラスの女子から嫌がらせを食らうようになり、不登校になってしまった。詳細はまた今度話すとして、
「お兄ちゃん、靴磨いといたよ。」
「ちょっと頼りになりすぎないか?」心の中でそう呟く。
「ありがとう、行ってきます。」
磨かれて光沢感があるローファーを履き、
玄関を開ける。
幼馴染の蒼が待ちくたびれていた。
「遅いよ。」頬を膨らまし、口を尖らせて言ってくる。
「蒼が早すぎるんだよ。」朝はいつもこの会話から始まる。それからは春休み何をしたか、どこに行ったかなどを話して学校へ向かった。
この後学校であんな事になるなんて、
誰が予想出来ただろうか。
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