02

 ふざっけんな、まじで。


 ふざけんなほんとに。


 許さんからな。


 目の前にカレーが出てきたので。


 テレビを消して、スプーンを手に取り。


「いただきます」


 カレー食べる。おいしい。彼の料理はいつもおいしい。


「ねえ」


 訊くぞ。訊くぞ訊くぞ訊くぞ。


「うん?」


 彼。

 カレーを持ってきて、きょとんとしている。


 かわいい。スプーンを口に咥えている。かわいい。


「くそっ」


 休みを1日つぶしてガンダム見たのに。


 全然彼反応しないじゃん。


 だめじゃん。


 うそじゃん。


 世の男性みんなガンダム好きって言ってたじゃん。なんだよ。うそじゃねえかよ。


 彼。おいしそうにカレーを食べてる。


「ねえ」


「うん?」


「ガンダム」


「ガンダム?」


「いやなんでもない」


 もういいや。


 んもう。


 彼と仲良くなりたかっただけなのに。普段真逆の趣味だから、共通の話題がほしかったのに。


 ガンダムめ。


 宣伝文句は偽りかよ。


「そういえば、見てたよね。ガンダム。おもしろかった?」


「おもしろかったよっ」


 つい叫んでしまった。


「鉄血の最終話のジュブナイルでそれでいて重厚で重みのある感じもっ、あとUC1話もっ。起動シーンは何回も見たよっ」


「すごい剣幕」


 あなたと仲良くなりたかったんだよっ。


 同じ話題で盛り上がりたかったんだよっ。


 とは、言えない。


「ジュブナイルって、何?」


「わたしもしらないっ」


 知らないもの。なんとなく言ってみただけだから。


「そんなにおもしろいのかあ。見てみようかなあ」


 おっ。


「あっほんとに?」


「だって、おもしろかったんでしょ?」


「見るっ」

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