オカルトサークルの怪談パーティーで俺がトリを務めた時の話

ねお

オカルトサークルの怪談パーティーで俺がトリを務めた時の話

※この話はフィクションです。




暗い部屋の中で車座になっている6人の男女がいた。


彼らの目の前にはそれぞれ1本ずつロウソクが置いてある。


6本ある内の2本のロウソクに火が灯っており、今、さらにその内の1本の火が消えた。


「「キャ~」」

「「こえ~」」


「最後のオチは背筋が冷えたぜ!・・・よし、じゃあ最後はケンジだな、期待してるぜ~」



・・・



俺の名はケンジ。大学の1年生でオカルトサークルに所属している。


今日はオカルトサークルの同級生で怪談パーティーをすることになったんだ。


怖い感じを演出するために、部屋の電気を消してロウソクまで用意した。


その雰囲気のおかげか、これまでの5つの話は全て怖かった。


話が終わるたびに皆「怖かった」報告をしている。


皆一様に背筋を冷やしていた。


そして、この会談パーティーのトリを飾るのは、俺だ。


俺はこの日のために、とっておきの話を用意していたのだ。


「時代は中世ヨーロッパ・・・」


そして俺は語り始めたのだった。











時代は中世ヨーロッパ。


この時代は色々カオスで、特に宗教関係はやばかった。


魔女狩りって知ってるか?


キリスト教の背教者・・・邪教徒達を火炙りで処刑してたんだが、まぁ無実の人間のほうが多かったらしい。


で、その邪教なんだけど、邪教って一括りで言っても色々あって、まぁキリスト教以外の宗教は基本邪教扱いだったんだ。


それでその中に、本当にやばい宗教があったんだ・・・邪神を崇拝する、まさに邪教だ。


その宗教は”邪神教”って言われてて、キリスト教が特に危険視してたんだ。


邪神教の目的は、邪神を召喚して世界を滅ぼすことだった。



ほら、たまに軽い気持ちで


「世界滅んだりしねーかな~」


とか思うことあるじゃん?もちろん本気じゃないけどさ。


でも邪神教の信者達は割とマジでそれを望んでた。


そして、そのマジでやべー奴らの中でも、特にガチでやべー奴らが6人いたんだ。


ちょうど今の俺らの人数と一緒だな。


邪神教の神官の立場にいる連中で、邪教徒達から崇拝されてたんだ。


通称・悪魔神官だ。



悪魔神官達はキリスト教徒を親の仇ってくらい憎悪してた。


その結果、奴らは恐ろしいものを作り上げちまったんだ・・・。


6日間、毎日6人の悪魔神官達が6時間邪神に祈りを捧げて、さらにキリスト教徒6人の血を浴びせた十字架だ。


敬虔なキリスト教徒達6人をさらってきて、毎日殺してたらしい。


そして出来上がったのが一つの十字架だ。


それはとても精巧な作りで、細部まで装飾が施された、まさに美術品だった。


だが、それは呪われた十字架だったんだよ。



その十字架を手にしたキリスト教徒達は次々と謎の死をとげていった。


司祭に大司教・・・さらには枢機卿っていう、キリスト教の中でもトップクラスに偉い人までもがその十字架のせいで死んだらしい。


やがてキリスト教のお偉いさん達は、謎の死の原因がその十字架にあることを知ったんだが、破壊しようとしても、聖水で清めようとしても無駄だった。


仕方なくお偉いさん達は、その十字架を特製の棺にいれて、大聖堂の地下に封印した。


で、その十字架を封印した棺にはこう注意書きが書かれていた。




「ここに”悪の十字架”を封印する。決して封印を解くべからず」ってな。




お偉いさん達は、その十字架を”悪の十字架”って呼んでたみたいだ。




そんな悪の十字架だが、その後に賊に盗まれて行方不明になったらしい。


結局今も行方はわかってないらしいよ。





・・・で、話はこれで終わりだと思うだろ?


最後にまだ続きがあるんだよ。


しかも・・・現代の日本が舞台だ。






とある日曜日、仲の良い老夫婦が美術館に向けて車を走らせていた。


なんでも、美術館が中世ヨーロッパ時代の珍しい十字架を取り寄せたらしく、その日が初公開だったそうだ。


アンティークマニアの2人は朝早くから美術館に向かったらしい。


で、2人は美術館に到着して中に入ろうとしたが、入り口が開かなかったそうだ。


で、入り口の横にあった案内版を見て、夫のほうがこう呟いたんだ。





「・・・開くの十時か」











「俺の話はこれで終わりだ。最後のオチが最高だったろ? ”あくのじゅうじか” 」


ドヤ顔でそう言った俺は、目の前のロウソクの火を消した。



「「「「「・・・・・・・・・・・・・・・・・」」」」」



話を聞いていた5人の中に、口を開けた者は誰一人としていなかった。


5人の背筋が冷えたかどうかはわからないが、場の空気は間違いなく今日一番の冷え込みだった。




※読者様の中にキリスト教徒の方がいらっしゃいましたらごめんなさい。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

オカルトサークルの怪談パーティーで俺がトリを務めた時の話 ねお @neo1108

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ