第12話 城の炎上




「おき、 お   ろ  リ、、ャ」


「起きろ、二 とも」




「あれ?誰か呼んでる? …………


お父様の声?



それに暖かいわ~



「起きろティターナ」



「起きるんだ、早く」


すごい勢いで体を揺らされて私は起きた。



私テーブルで寝ていたの?

あれ?ここベッドじゃない、



ん? 辺りが赤い……



な、なに、   こ、れ、…………





私は今何が起こっているのか全く分からなかった。


周りは赤くてとても暑い。

これ火の中に、いる?


何がどうなっているのか全く状況が見えない。

燃えてるの?


お母様も私の目の前で寝ていて、

なに? 何なの? 何がどうなっているの。 悲鳴が、悲鳴が聞こえるわ



「お父様!」


「早く部屋から出て、脱出しないと」



「これ何、どうなっているの」


お母様も慌てて起きた。

私と同じように状況が読めていない。


それに今までこんなお母様見たことがない。

必ずベッドで寝ているのに、お母様までテーブルで寝ているなんて。

羽目の外しすぎッてこと?

そんなお母様を見るのが初めてで違和感しかない


「あなた、これは? 」


「敵軍だ。攻めてきたみたいだ」


「そんな、」


「とにかく早くティターナを連れて安全な所へ」


「えぇ、そうね


行くわよティターナ」



私はお母様に手を取られて走り出した。


あまりの出来事に頭がついて行かない


いったい何がどうなっているの?




「いたぞ、こっちだ」


「や、止めろ、止めてくれぇ


ぐあぁぁっぁぁぁぁぁっぁぁぁぁぁぁぁあっぁっぁぁ」



どうして、苦しそうな声が聞こえるの。



「皆急いで!こっちよ、まだ火が回ってないわ。急いで逃げて」


メイドさんが急いで部屋中に声をかけている。



「こっちだ進め」


兵隊さんが戦っている

知らない兵隊さんとここの兵隊さん。


廊下にも人が寝ている。兵隊さんが何人も。いや、倒れてる、血まみれで。

死んでいるの?



あまりの光景に目を塞いだ


「ティターナしっかり走りなさい」


お母様。


部屋が少し熱い、体が熱いわ。

私たちの部屋にも火が移っていてい、掛物が燃えている。


「とりあえずこっちだ、行くぞ」


扉を開けた先も火がついている。


「すごい煙だ。口を塞いで行くんだ」



「あなた、早く下に降りたほうが。 」


「あぁ、そうしたいんだが、ダメなんだ。

下手に降りると敵兵につかまってしまう。

それに火の手は下のほうが強いんだ。

道を誤ると逃げ場がなくなってしまう 」




「そんなにたくさんの兵隊が?いったいどうすればいいの? 」


二人の顔、二人の話し方を聞いているとどうにも解決策が無いように聞こえて仕方がない。



「この城は包囲されたも同然だ」

くそ、何か打つ手は、」



「居たぞ、ここにいる!」


人の声


「まずいこっちに兵隊が近づいて来ている。」



「とにかく兵隊に見つからないように、上に上がるしかない」



「上に上がったら逃げ場なんてないわ」


「くっ」



「きゃぁぁあぁぁっぁあぁぁぁぁぁぁあぁ―

いやっ、お願い、止めてく、」


「あああぁぁぁあっぁ、あ、あ、あ、あ」


「そっちにも行ったぞ」


「助けて、助けてぇぇ、」


「いやあぁぁぁぁっぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」」



もう聞いてられない。

耳を塞ぎたい。


「こっちの兵隊はどうなされているの? 」


「わからない。だけど、兵舎が吹き飛ばされている。ほとんどが黒焦げだ。」


「それって……」


「兵舎がまず一番に爆破されたらしい。

酷い事をする。


さぁ、 とりあえず、上へ行くんだ」


父様に従って部屋から離れる。




「おい、止まれ」


兵隊二人に行く手を塞がれた。

この人たちはここの兵隊さんじゃない。


「きゃああああ」


「お前たちなんでこんなことを」



「黙れ、死ねー」



お父様?!


お父様は相手の槍を抑えた。



「行けぇ――。 お前たちは早く逃げろ 」


「お父様! 」


「行くわよティターナ」


「お母様待って」


私はお母様に手を強く引っ張られていった。



お父様は可憐な身のこなしで槍を奪うと、槍を持っていた兵隊さんを一突きして、床に転がした。


もう一人の兵隊さんが、剣を掲げてこっちに走ってくる。


見開いた目は恐ろしいの一言だった。


後ろに付いて走る私に、剣は降り降ろされた。


大きく振りかぶられた一撃は間一髪、スカートの裾が二つに切れるという空振りで終わった。


この時始めて私は殺されるんだという感情に畏怖した。

途端に全身の筋肉が硬直していく。

夢じゃないの? そうよ、きっとこれは悪夢を見ているに決まっているわ。

私は何度も自分にそう言い聞かせて後を走る。


剣士は、後ろを向いて走る私の目の前で血しぶきをあげて失速していった。


喉を何かが貫通している。


人の血。生暖かい。いいえ、とても熱い。



「大丈夫か!? ティターナ」



お父様が全速力で駆け寄ってくる


お父様の投げた槍が彼を殺した。

私は、お父様が人を殺すところを見たわけではない、


だって私が見たのは、ただ剣を振り回しながら追いかけて来る兵士と、その兵士の喉から急に飛び出してきた血と槍しか見てないもの。


そうあれはお父様ではない。ただ偶然槍が飛び出してきてこの人が倒れただけ。

そうよ。そうに決まっている。お父様じゃ…ない…わ。



私は怖くて言葉も出なかった。

ただ、首を縦に振る事すらもできない。



人が、人を殺し合う。昔話で聞いたことはあったけど、それは昔話。おとぎの話ではなかったの?

こんなの、こんなのって、



「待てー、止まれぇ! 」



まだまだ後ろから、そこに倒れている兵隊と同じ格好の人が走ってくる。


もう私たちは終わりなの?助からないのかな……



「死ねー」


私は目を瞑った。



あれ? 当たってない?



恐る恐る目を開けるとお父様が剣を振る手を掴んで私の前に立っていた。


「私の大事な娘を殺らせるかぁ―」


お父様そういって兵隊さんを押し返すと、剣を奪ってその兵士を叩いた。


「貴様ら、俺たちの仲間を殺しやがったなぁ!

絶対に、許さねぇ!」


他の兵隊さんは倒れている二人の兵隊さんを見て目を血走らせた。


お父様は剣先を向けてきた兵隊さんと押し合っている。

その後ろに仲間の兵隊さんが沢山。

いつ後ろから他の人がお父様を切りに来てもおかしくない状態。


お父様も動けない。きっとあの手を離して体をそらしたらそのまま切られて倒れるわ


嫌、嫌よ、お父様、お父様を殺さないで。止めて。


他の人がお父様に襲い掛かる。

お父様!















でも、お父様の動きはは私の想像をはるかに超えていた。


どれだけこのような場の経験を積まれてきたのだろう。

例え三人が束になってきたところで、お父様は負けなかった。


剣を抑えたまま、一人目の攻撃を交わすと、二人目の人が剣を振り下ろす前に、お父様は足を使って兵隊さんを蹴り飛ばした。

呆気にとられたその一瞬で、お父様は剣を奪ってお父様の前に立つ兵隊さんを切り倒した。



また、血が飛んでる。

その人は床に倒れた。


すごく痛そう。可哀想だわ。早く手当てしてあげないとあの人死んじゃう。

床に倒れた男の体はぴくぴくと動いている。

あの動きは何をしてるのかしら?ただ、とっても苦しそうなのだけはわかる



「貴様、よくも」


後ろの大きな男が声を荒げて前に出てきた。


お父様はその男の一撃を剣で受け止めた。


「絶対に許さん」


男とその左右からも私たちを取り囲むように展開する。


4対1なんて卑怯すぎるわ。


私たちは壁に追いやられて、囲われた。


お母様の手も震えているのが伝わる。


助けて、お父様。



私の方を見た兵隊さんは

私と目が合うとにやりと笑って見せた


「嬢ちゃん、怖いのか?」


私は訳も分からずただ首を横に振っていた

何の思考も働かない。


「じゃあおめぇに選ばせてやろうか?

お前のパパとママ、それかお前。どっちを先に殺したらいいかな? 」


なんてことを聞くの。

私は恐怖のあまりただ唾をのんだ。

そんなの、答えなど出てくるわけもない

もう、いいから早く目が覚めてほしい。


「何だ、答えないのか?」


死にたくない、殺されたくない。お母様もお父様も失いたくない。色んな感情が出てきた。


「そうか。答えないのか?

ならもういい、お前から死ね」



驚いて目を見開いた

私から死ぬの?答えれれないから、答える言葉なんてないから、戸惑っていただけなのに、

私死んじゃうんだ。

嫌だな。


剣はまっすぐ私に下ろされた。

何の躊躇もなく。


これで目がさ覚めたら嬉しいのにな。


お父様はまた私の前に立って剣先を防いでくれた。

剣を奪って相手に向ける


「ほぉう、」


「お前たち、こんな子供から殺そうと……」


「子供?

子供も大人も関係ねぇ。ここにいる奴は税員殺せ。

それが命令だ。お前たちは死ぬしかないんだよ。

悲惨な光景を目にして死ぬより、先に送ってやるって言うのは優しいってもんだろう」


一人の兵士が剣を渡し、お父様が奪った剣を弾き飛ばす。


いやぁぁぁぁぁぁぁぁ、


お父様の右肩を刃物が割く。


お父様……、血が……


「お前からでもいいんだけどなぁ!先にいくか?

後ろの二人は俺たちがゆっくりと可愛がってやるからよぉ」


お父様は隙を見て大きい男の人を交わすと、通路側にに立つ一人の兵士を切った。


「今だ、走れ。急いで走れぇ―」


お父様は死ぬ気だわ。


でもダメ、逃げたくても、体が動かないの。死にたくないけど、逃げ出したいのに、恐怖が勝つ。

お父様もおいても行きたくない。


私の体は強く引っ張られて動いた。


お母様。

お母様は走り出した。とても強く踏み込んで私を引き離そうとしている。


「逃がすな、追え」


兵隊の一人が追いかけて来る


お父様は後ろからもう一人の兵隊に足をけられ、跪く。

目の前の男がお父様の前髪をつかんで引っ張る。


お父様が殺されるわ!



お父様ぁ――――。



いやぁぁぁああっぁぁっぁあぁ



私の視界はそこでお父様を捉えられなくなった。

丁度曲がり角を曲がったから。


「しっかりしないさい。ティターナ! 」


怒られたような言葉に私はドッキとした。

そうだ、とにかく今は走ろう。



兵隊さんはまだしつこく追いかけてくる。



こんな時どうすればいいの。

そうだ、あの夜の時の様に兵隊さんを撒けば逃げ切れるわ。

実際に私は兵隊さんを撒いた。

それまであきらめなければ、きっと助かる。

だったら、



急に走りが止まった。


お母様?



前にはたった今メイドさんを切る兵隊2人が映った。


後ろからメイドを引っ張って連れてきて、2人の前へ抛り投げた。


「もう一人いたぜ

女だ。」



「お前、生きたいか? 」


メイドさんは涙ぐんで首を縦にした。


「お願い。殺さないでください。 」


「みろ。殺さないでくださいだってよ。 

可愛いなぁ。 」



そういってメイドさんのお腹を鉄の履物を履いた足で蹴りつける



「ぐほっ、げっほっ、」


メイドさんは苦しそうに吐くような咳を何度も繰り返している。


「いた、い……、も、う止め、……て、下さい…」


「可哀想に。ほら、行けよ」


「はぁ、はぁ、」


メイドさんの背中に切り傷がある。きっと逃げる途中に切られたのね。

あまりの衝撃だったのか体を起こそうとしない


「おいおい、大丈夫か? ほれ、起こしてやるよ」


メイドさんは男性に思いっきり引っ張られた。

とても痛そうに立たされると、思いっきりその男がメイドさんに抱き着いて

彼女を締めた。


「ああっ、あぎぃゃぁぁぁぁ―」


悲痛を上げてメイドさんの背中から血が流れだす。


「悪ぃ、悪ぃ、あんまりかわいいからつい愛おしくなっちまって」


「おいおい。こいつ可愛い物を見ると何でも抱き着こうとしやがるんだよ、ほんと悪い奴だぜ

嬢ちゃん大丈夫か」


「また抱きしめたくなった」


「止めとけ」

楽しそうに笑う兵士


20代ぐらいだろう、若いメイドさんは腕をほどかれるとすぐさま床にずり落ちた。

こんなに細く小さなパーツでよく耐えれたものだわ。


でも彼女は必死に生きようとしていた。そのか細い体を這って動かしていく。

お姉さの顔は歪みきっていた。


「ちょっとどこ行くの? 姉ちゃん。 もっと俺たちと遊ぼうよ」


お姉さんのか細い足をつかんで、前に進もうとするお姉さんを引き寄せる。


「おい、こいつ血吐いてやがるぜ」


「嘘だろう。もうだめじゃん」


引きずられた後を赤い血が辿る。


メイドさんは這って逃げようとする


「じゃあもう楽しめねぇな」


「おい待てよ。」


急に兵士の声色が変ると、お姉さんの脹脛に長剣を突き刺した


「いやあぁぁぁぁぁ――――――――」



「もううるさいから殺せよ」


そう言って背中から一直線に剣がささる。

何度も何度も。


声がだんだんと小さくなって、しまいにはお姉さんは声すらださくなった。

ぐったりと横たわっている。叫んだ口は空きっぱなし。


私は両手で自分の口を押えた。


この人たちに捕まるとこうなってしまうの?



「あぁん、なんだ、まだいるじゃねぇか」


彼らが私たちに気付いた!?



後ろからも兵隊が追いつく。

挟まれた。

お父様も来ている様子がない。

お父様……

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