第10話 JKとマジ勝負!


              ☆☆☆その①☆☆☆


「それじゃあ、僕は荷物番をしてるから、まずはみんなで 泳いでおいでよ」

「わ、いいんですか~♪」

 三人とも喜んでいる。

(うむ。これぞ大人の余裕だ)

 少女たち三人が海に向かうと、育郎は自分の荷物から洋書のSF小説を取り出して、ノンビリと目を通す。

 夏の日差しがパラソルで影を作り、海からの風が季節の強い香りを感じさせる。

 真夏の砂浜という開放的な環境で、青年は知的に洋書の世界へと没頭してゆく。

 そんなつもりで持ってきた本だけど。

「オジサ~ン♪」

 波しぶきにキラキラしながら手を振る恋人の姿に、視線も奪われっぱなしだ。

「でへへ…亜栖羽ちゃん、ビキニも眩しいなぁ」

 喜ぶ愛顔と、揺れるビキニの双乳と、ムッチリと大きなビキニのお尻。

 三人ともよく似合った水着で魅力的だけど、やはり青年にとっては、亜栖羽が一番だ。

 しばらく三人で海を楽しんでいると、桃嬢が上がってきた。

「ふっ様、荷物番 代わります」

「え、もっと泳いでて良いよ」

 遠慮しているのかと思ったら、そうでも無いらしい。

「波が強くて、ちょっと疲れてしまいました」

 休みたいのもあったようだ。

 育郎の隣に桃嬢が腰を下ろすと、なんだか体温が感じられそうなドキドキ。

「そ、そう…。なら、少し休んでおくと、いいかもね」

 亜栖羽以外の少女と二人で話すなんて、初めてな気がする。

 緊張して、大人ぜんとした気の利いた会話の一つも出来ない青年だ。

 浜に腰かける二人に向けて、ミッキー嬢が声をかけて来た。

「あ、GOさ~ん! 勝負っス勝負~っ!」

「勝負…?」

「くすくす ふっ様、ぜひ応じてあげて下さい」

「う、うん…」

 笑顔の桃嬢に背中を押され、育郎は海へと向かう。

 街が設置したブイに捕まって、少女たちが待っている。

 足の届かない深さまで来ると、ミッキー嬢が勝負の内容を話した。

「GOさん、泳ぎにも自信ありそうっスよね。どっちが速いか、勝負っス!」

 今いる場所から、五十メートルほど離れた岩にタッチして、このブイまで戻ってくる。

 という勝負らしい。

「ふむ…」

 育郎は悩む。

(大人の男としては、少女に勝利を譲るべきだろうけど…本気の勝負っぽいから、むしろ本気で応えた方が良いのかな…?)

 悩める二十九歳に、十五歳の恋人が答えてくれる。

「ミッキー、泳ぐの早いですよ~♪ オジサン、本気で勝ちに行って下さいねっ!」

「マジっす!」

 亜栖羽の言葉に、ミッキー嬢も、やる気満々な笑顔だ。

「わ、解りました…!」

 本気の勝負という事なので、育郎も本気を出す事にした。


              ☆☆☆その②☆☆☆


 青年とミッキー嬢が並んで、亜栖羽がスタートを切る。

「位置についてっ、よ~い」

「負けないっスよ!」

「本気で行きます!」

「スタート!」

 亜栖羽の合図で、レースがスタート。

 クロールの水しぶきが二つ、大きく爆ぜた。

 スタートダッシュはミッキー嬢の方が速く、体一つ分くらい、そのままリード。

 筋肉量による水の抵抗の違いか、体格に対するスビートは、ミッキー嬢の方が効率的だ。

「えへへ、このままアタシの勝ちっス!」

「これからです…っ!」

 しかし育郎は、渾身の筋肉で海水を掻き分け進む。

 一かきの大きさと筋肉の爆進により、不利な質量を無理矢理に抑え込んでいた。

 リードしていたミッキー嬢が、ジリジリと追い付かれ始める。

 岩にタッチする頃にはほぼ同時で、更にミッキー嬢の手足には、僅かな疲労も蓄積され始めていた。

 対して、いまだ発達する青年の筋肉は、疲れを困難とする事なく、推進の速度を落とす事もなく、やがて逆転。

「ぐぐ…抜かれたっス!」

「むんんんんんんっ!」

 育郎はそのままリードを護り、亜栖羽の横を通過した。

「ゴ~ル! オジサンの勝ち~♪」

 少し遅れて通過したミッキー嬢は、素直に悔しさを隠さない。

「うわ~負けたっス~っ! 男子大学生にも負けた事ないのに~っ!」

「ふぅ…」

 青年は、強靭な筋肉で僅かな疲労もすぐに回復。

 バストアップで海面に浮かぶ濡れた強面なその姿は、海底の王ポセイドンを連想させた。

「オジサ~ンっ、すっご~いっ♪」

 素直に喜びを表す亜栖羽が、育郎の胸に抱き付いてきた。

「あわわっ–あああ亜栖羽ちゃんっ!?」

 ビキニ越しの豊乳がポヨんと柔らかくて、腿に触れる少女の膝が温かくて柔らかくて繊細で、スベスベしている。

(こ、これが…女の子の肌…っ!)

 つい、亜栖羽との裸の触れ合いを妄想してしまって、茹でたタコのように真っ赤になった育郎だ。

 浜辺では桃嬢が、動撮した映像を見ながら、妄想をかきたてている。

「体育自慢の美樹さんが、追いかける筋肉の大男から逃げきれず…はふぅ…」

 勝負もしたし喉も乾いたので、一度みんなで上がる事になった。

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