第96話 Dチーム救出
B-チームはオーク達のいる手前の茂みでタウロ達が来るのを待っていた。
側にはエアリス達もいる、合流していたようだ。
オーク達は赤い狼煙にも動揺する事はなかったようだ。
きっとDチームが数日前、先にやったので、何も起きないと解釈してるようだ。
この辺りは魔物らしい浅慮さだ。
「……タウロ、大丈夫だった?さっきオークがまた五体増えたの。今は二十四体よ」
エアリスが小声でタウロに知らせる。
「やつらは斜面のDチームに気を取られているから、奇襲は容易だが数が多い。だが、みんなで当たれば勝つのは容易いだろう。幸い救出すべきDチームは今は安全な場所にいる、遠慮なく暴れ回れるぞ」
B-チームのリーダーは不敵に笑うと、CチームとD-チームに指示を出す、半円の包囲網で全滅させる作戦だった。
タウロ達E-ランクチーム『
三人はエアリスを守る役目だ。
やはりDランク帯からの討伐対象であるオークを任せるのはまだ早いとB-チームが判断したのだ。
この判断は当然だったのでタウロも納得した。
今はエアリスのバックアップに徹しよう。
各チーム配置につくと、一斉に攻撃が始まった。
エアリスも渾身の雷魔法をオークの群れに放つ。
B-チームの魔法使いの火魔法は強烈だった。
一撃で五体ものオークが吹き飛んだ。
オーク達は慌てふためく、そこに冒険者達が斬り込む。
エアリスはそれを確認すると防御魔法に切り替える。タウロはその背後から支援魔法に忙しいエアリスに魔力回復ポーションをかけて魔力の回復を図り、密かに闇の精霊魔法でオーク達に能力低下をかけた。
これで、みんな楽になるはずだ。
それはいいがタウロはごっそりと魔力が減るのを感じたので慌てて自分も魔力回復ポーションを直接飲んだ。
「そっちに行ったぞ!」
冒険者の一人がこちらに警告した。
オークは弱そうな者から先に攻撃する習性がある。
戦わずに背後にいるので目をつけられた様だ。
「ルメヤ!」
「おうよ!『盾突き上げ』!」
ルメヤがエアリスの前に飛び出すと、大盾を構えてオークが振り下ろすこん棒を受け止めるどころか跳ね上げた。
「交代!」
シンがルメヤに声をかけてルメヤが身を引くと、その影から飛び出してオークに斬りかかる。
オークはシンの袈裟斬りに「プギー!」と叫んで切り口から血を噴き出す。
立て続けに、シンは振り下ろした剣をそこから跳ね上げて今度はオークを斬り上げた。
そこにタウロが小剣を持って飛び出し、追い討ちで下顎から脳天に突き刺す。
オークはもう叫ぶ事なくそのまま、のけぞると背後に倒れて絶命した。
「次来るぞ!」
タウロがみんなに声をかける、チーム『黒金の翼』に油断は無かった。
やはり、Bランク帯チームは伊達ではなかった。
一流のランクと呼ばれるだけあって、その活躍は凄まじく、数で圧倒していたオークは奇襲と、このBランクチームの猛烈な攻撃に抗う事が出来ず総崩れになり、一体も残らず殲滅された。
終わってみれば、半数以上はこのB-チームが仕留めたのだが、意外なところでE-チーム『黒金の翼』が3体も倒していた。
一体は期待の新人エアリスの先制攻撃での魔法だったが、残りの二体はチームで仕留めたものだ。
D-チームは二体、Cチームは六体、B-チームは十三体という結果だった。
上から様子を窺っていたDチームは決着が付くと魔法使いらしい女性が土魔法で斜面に階段を作った。
その階段から二人の男が負傷者に肩を貸しながら降りてくる。
ボブは不幸中の幸いで、負傷者ではなく、肩を貸して降りてきた人物の方だった。
早速、治癒士二人とエアリスが治癒魔法を唱えて治療にあたる。
タウロも歩み寄ると中級ポーションを負傷者の傷口にかけた。
その行為に、治癒士二人が驚く。
ポーション自体が貴重な上にそれが中級だからだ。
さらに使ったのがEランク帯チームなのだから、二重に驚いた。
エアリスはタウロなので驚かなかったが、普通は驚くところだろう。
「出血が多いので早めに傷口を塞ぐべきと判断しました」
驚かれたので、しまったと思ったタウロは使用した言い分を後付けした。
「そ、そうね。良い判断よ」
理由を聞いた治癒士の女性が、褒めてくれた。
タウロは他の三人も負傷していたのでポーションを配って渡した。
「ありがとうタウロ。また、救われたな」
ポーションを受け取りながらボブがお礼を言う、タウロは「無事で良かったです」と言うと、ポーションを飲む様に促すのだった。
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