第63話 闇の精霊は、良い精霊さん
タウロは翌朝になるとすぐギルドに向かい薬草採取クエストを受けて森に入った。
祠に向かう途中でクエストに必要な薬草を採取し、時折見つかる珍しい薬草もついでに採取した。
祠に到着すると気配察知で中に誰もいない事を確認すると中に入った。
相変わらず中には闇の精霊が濃く集まっている。
昨日に引き続き魔法『浄化』で祭壇の丸い石の呪い?を解きにかかった。
これまで、『浄化』に効果の濃度を考えた事がなかったが、数を唱えるより、一発一発に念を込める様に唱えてみた。
「『浄化』!」
丸い石を遠巻きにいる闇の精霊達の黒球がグッと丸い石に近づいた。
効果があるようだ。
もう一度、念を込める様に唱える。
これを魔力回復ポーションを使ってずっと続けた。
半日もすると流石に疲れた。
お腹も水でいっぱいだ。
大分闇の精霊達は祭壇の丸い石に近づいたがまだ、何かに阻まれる様に押されていた。
明日も来てまたやってみよう、手応えを感じていたタウロはそう考えると祠を後にした。
それからタウロは数日間ずっと祠に通い祭壇の丸い石に『浄化』を唱え続けた。
ボブもタウロがここのところずっと祠に通っているのは気づいていたが、祠周辺の魔物退治に専念した。
今は村の安全が優先と考えたのだ。
その日もタウロは普段と違う道筋で薬草を採取しながら祠に到着すると早速『浄化』を唱え始めた。
ずっとやっているが『浄化』の魔法に何か『上』に天井を感じるというか本来の力ではない何かを感じ始めていた。
これが自分の能力の限界というものなのかもしれない。
悩みながら『浄化』を唱えているとその瞬間は突然来た。
何度目かの『浄化』を唱えた瞬間、何か薄いガラスの膜の様なものが割れる感覚がありはっとなった。
するとそれに呼応するかのように周囲に濃く集まっていた闇の精霊達が丸い石に吸い込まれる様に入っていく。
次の瞬間だった。
「特殊スキル【&%$#】の発動条件の一つ<闇の精霊を救いし者>を確認。[闇の精霊魔法の制限解除]を取得しました」
脳裏に『世界の声』が響いた。
「え?闇の精霊を救いし者?」
「そうだ、そなたは我を救ってくれた」
「え!?」
目の前の丸い石から闇が噴き出ると人の形になった、だがそれは光を通さないあくまでも闇だ。
「我は闇の精霊プルート。我の依代としていたこの石に呪いをかけられ、力の一部が我を崇め奉ってくれていた村に流れ込んでいたようだ。呪いを解いてくれた事を感謝する」
闇が頭を下げたように見えた。
「今の我には力はないがせめて闇の精霊魔法を使えるように……、ふむ、既に闇魔法を手に入れているな…。それでは<闇の精霊の加護(弱)>を与えよう、闇魔法の強化、耐性、魔力の増強になる。状態異常耐性を持っている様だからそれと合わさればほぼ、闇魔法の精神系や能力低下などは効かないはずだ。すまないな今はこれが精いっぱいだ」
「いえ、助かります!」
「そうか、ならば良かった。それでは我は久しぶりに外界に出てみるとしよう」
そういうと闇が動き、入口に向かうと消えていった。
「外はお昼だから光が強いけど大丈夫だったのかな?」
急な展開過ぎてまだ呆然としていたが、気を取り直した。
闇の精霊が言う事が正しければ、村にかかった呪いは解けたはずだ。
精神系魔法をかけられていたようなものだろう。
それならば、日が経てばおのずと改善されていくはずだ。
祠を出るとボブが現れた。
「きな臭さが消えたぞ!タウロ何かしたのか!?」
「えーっと、僕にもよくわりませんが、村にかかった呪いが解けたようです」
「そうなのか!?」
「精霊さんが言ってましたので多分……」
「精霊?」
「ゴブリンソーサラーに呪いをかけられて困っていた精霊さんが、感謝してたので大丈夫だと思います」
「タウロは精霊とも話せるのか……、凄いな……」
ボブは感心していたが、論点がずれたのでタウロが戻した。
「とにかく、村に戻って確認してみましょう」
「そ、そうだな!」
二人は村に走って戻るのであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます