第18話 新たな課題

 タウロは後続のチームを発見、駆け寄ると状況を伝えた。


 後から来たチームのリーダーは戦斧を担いだ支部長のレオだった。

 メンバーには、最近C+ランクに昇格した剣使いのモーブと同じチームを組んでる盾使い、盗賊、治癒士の、チーム「銀剣」だ。


「よくわかった。お前はギルドに戻って他の者に報告、その後は休んでろ」


 そう言うと、レオ達はあっという間に戦場に駆けていったのだった。




 ギルドに戻ったタウロは状況を息も絶え絶えに報告するとその場に崩れ落ちた。

 何しろ、森の奥から街中のギルドまでの距離を森→ギルド→森→ギルド、と全力で往復したのだ。

 いくらアンガス作の小剣の敏捷+5が付与されているからといって速さは増しても体力は変わらない。

 もう、限界だった。


 ネイが慌てているのが視界に入ったが、そこからは意識を失って覚えていない。




 タウロが目が覚めるとギルド内は夜中にもかかわらず、騒がしくなっていた。

 どうやら、怪我人は出たものの、Dランクチーム「5本の矢」は無事救出され、ゴブリン達は一掃されたらしい。

 みんな戻って来ていた。

 冒険者達が話しているのに聞き耳を立ててみるとその内容では、救出には急造チームが奮戦して流れを変え、そのあと、支部長のレオ達が到着した事でゴブリン達は完全に一掃されたとのことだった。


「みんな無事でよかった」


 ホッとするタウロであったが、そこに、急造チームのリーダーが来た。


「サトゥー、ポーション助かった。あれのおかげで多少の怪我も気にする事なく戦えた。ありがとよ。費用は、ギルドが持ってくれるそうだ」


「いえ、みなさんご無事で何よりです。自分は走る事しかできなかったので、その言葉だけで嬉しいです」


「いや、そもそもサトゥーが早く報告してくれたから、『5本の矢』は取り返しのつかない事にならなくて済んだんだ。お前は十分に役目を果たしたよ」


 タウロの肩をポンと叩くとリーダーは離れていった。

 そう言われた事でタウロは戦闘スキルが無い自分でも役に立てたのだと報われた気がした。




「うーん……、役には立てたけど、やっぱり戦闘スキルが無いと不安だなぁ」


 自室に戻ったタウロは今回の件で改めて冒険者として不足してるものにぶち当たった気がした。

 武器の扱いは訓練で武術教官のダズからも評価されるようにはなってきたが、肝心の戦闘スキルはない。

 自分の身を守るだけならまだしも、今回の様に誰かを助けなくてはならないとなると不安しかなかった。

 疑問もある。

 小剣に付与されている剣技+2だ。

 剣使いスキルが無い自分にもこれは有効なのか、無の所に+2は足せるのか、足せないのか、である。

 何となく剣は、他の槍、弓矢、盾、メイス、棒、体術などより使えてる気はするのだがそれでは根拠にならない。


「やっぱり、ゴブリンレベルを相手にしないと確認のしようがないけど……、ゴブリンはほぼ集団行動だからひとりだと危険なんだよな」


 となると、どこかのチームに臨時で入れて貰って一緒に戦えるといいのだが、流石に10歳の子供を臨時でも入れてくれるところがあるはずもなく、現状試す機会は無かった……。


「結局、やる事は一緒か……」


 ため息をつくと、


「明日からまたひたすら訓練だな……」


 ベッドに横になるとタウロはすぐ寝落ちするのであった。

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