第4話

俺はそのまま気を失い、そのまま意識が遠ざかっていった。


 「せ、先生!人が倒れています!」

 

 「気絶·····!?大丈夫!?」

 

 ああ、周りの奴らが騒いでいる。入学式に悪目立ちしちゃったな·····

 

 「先生、私が彼を運びます!」

 

 これは誰の声だ·····?

 人影が·····見え·····る·····

 

 

 ■

 

 

 次に俺が目覚めたのは、真っ白な天井だった。

 なんだか頭もふわふわするし体も暖かい。

 

 「もしかして、俺死んだ·····?」

 

 「なわけないでしょっ!ここは保健室ベット!君〜、もしかしてアホの子?」

 

 俺は横を振り向くと、そこにはテレビの画面でしか見たことがない女が座っていた。

 

 「ひ、姫乃サラ·····!?」

 

 俺が彼女の名前を呼ぶと、姫乃は「およ」と言ってキョトンとした顔をした後、俺の手を両手でギュッと握ってくる。

 

 「うを〜!少年っ。サラのことを知ってるのかい?いや〜嬉しいねえ」

 

 姫乃は目をキラキラさせて喜んでいた。

 いや、お前国民的アイドルなんだから知ってて当たり前だろ。

 

 そんなことよりも·····

 

 「お前ひょっとしてここまで運んでくれたのか·····?」

 

 「ふえ?そうだけど?」

 

 姫乃は「それがなにか?」みたいな顔をして俺の顔を覗く。

 こんなに華奢で美人で、なおかつ超人気アイドルが、体育館から保健室まで俺(身長173cm、体重65kg)を運んでくるとか軽いスキャンダルだろ!

 俺が口をパクパクさせていると、俺の考えてることがわかったのか、姫乃は喋り始めた。

 

 「ああ、実はサラ力持ちなんだよね〜。男子顔負けってやつ?あんまりにも力持ちだから、事務所から力を披露するような番組には絶対に出るなって言われてる」

 

 ペロッと可愛らしく舌を出して、お茶を濁そうとしているが、残念ながら全く濁せてない。

 将来、俺が引っ越す予定でもあったらいの一番に姫乃を呼ぼうと思う。

 

 「あとお前·····いつまで俺の手握ってんだ」

 

 「ふわああああ!ご、ごめん!いつも握手会の時、係員の人が終了の合図出してくれるから、いつ握手辞めればいいかわかんなくてぇ!」

 

 姫乃は、俺の手をパッと離してあたふたしている。天然なのか·····?

 俺は呆れていると、姫乃はさっきまでと少し様子が代わりなにか言いたげにモジモジしてる。

 

 「あ、あのさ·····変なこと聞いてもいい·····?」

 

 「唐突だな。なんだ?」

 

 俺がそう答えると、姫乃は胸に手を置いて大きく深呼吸をし始めた。

 なぜか俺にも緊張が走り、固唾を飲んで姫乃の質問を待つ。

 

 「あ、あの·····!」

 

 

 

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