第10話 僕の趣味は人間観察

 僕はこっそり周囲を見渡した。今ここにいる人達は彼女の話を真剣に聞いているだろうか。どんな表情で、どんな思いで聞いているのだろうか。

 しかし、誰もがみんな黙って画面を見つめているだけで、そこからは何の感情も読み取ることはできなかった。僕はすぐに興味を無くした。

 そして僕はまた彼女を観察し始める。彼女のバックグラウンドこれまでについても思いを巡らせた。彼女が過去に書いた小説やエッセイを読んで、彼女のことを少しは知っている気がしていたけれど、目の前の半リアルな彼女はまた印象が違う。

しかし、それもまた、彼女のほんの一部分に過ぎないのだろう。僕は彼女のことを知らな過ぎる。

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