第9話 三つの指輪

 彼女の細い指には、テーブルに置けばゴロリと音のしそうな程大きな石のついた指輪が三つはめられていた。


「すごく辛いことがあったらね。もう耐えらんない! ってくらい辛いことがあったらね。おっきな石のついた指輪を買うの」


 そうニコニコとしながら語っている。憧れの先輩がいつかそう言っていたと言う。彼女はそれを聞いたとき、どうしても自分もそういう指輪を買わないといけない気がしたそうだ。

 彼女のそういう﹅﹅﹅﹅指輪は、彼女の指と指の境に引っかかるようにしてそこにあり、画面越しに鈍く繊細な光りを放っていた。

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