龍神の子2 〜天記と隠された森〜

藤沢 遼

第1話 プロローグ

  強い風が吹いたら 


  すぐに飛び立て


  それはあちこちに現れる 


  そしてすぐに消える

    

  なぎの木には止まるな


  連れて行かれる 


  戻れなくなる 


  あの木には止まるな 


  戻れなくなる



 萌葱色もえぎいろの若葉の隙間に、優しい風がさらさらと流れてゆく。

 二千年の間全く変わることなく、若葉は青空に揺れていた。

 季節はなく、空気も匂いも変わらない。

 太陽に手をかざす。

 小さなその手の大きさもずっと同じ。

 時折やってくる鳥たちの声が変わるだけだった。



              つづく 


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