初めて見る本物の人間。(メテオラが見た初めての本物の人間は門番をしている太った男の人と痩せた男の人の二人組の王国の騎士だった)初めて見る人間の王国。そして人間の王国の中で人間たちと一緒に暮らしている自分と同じ魔法使いたちの姿がそこには会った。

 人間のお城に、人間の文化。初めて見るいろいろなものや建物たち。洋服や食べ物。本当に街の中を歩いているだけで楽しくて楽しくて仕方がなかった。

 そしてそれら以上に、なによりもメテオラの心を、その大きな目を引きつけて離さなかったのが、『初めて見る本物の魔法樹の姿』だった。

 「エランさま。あれは、……魔法樹ですか?」と北のお城の横に立っている天まで届くような巨大な大樹の姿を見て、目を大きく見開いているメテオラは言う。

「ええ。そうですよ。メテオラくん。あれは魔法樹です。どうです? すごく大きくてとても立派な木でしょう?」と、まるで自分のことを自慢するかのように、メテオラに向かって得意げになってエランさまは言った。

「……はい。本当にすごいです。本当に、そう思います」となんとなく(感動のあまり)ぼんやりとしながらメテオラは言った。


 そんな風にして少しの間、エランさまとまるで異国の国に旅行にでも来たかのように(あながち、間違ってはいないのだけど)北の王国の街の中のいろんな場所に歩いて行って二人でいろんなことを面白がって遊んでいたメテオラたちだったのだけど、その途中で、食べそびれてしまった朝ご飯を食べているときに、(ご飯は屋台で焼きたてのパンを買った。お金はエランさまが「サービスです」と言って用意してくれていた。メテオラの魔法使いのローブのポケットの中にはいつの間にか金貨が二枚も入っていた)不意にエランさまが「では、そろそろ目的の場所に行きましょうか? 私たちはこの時代に決して、二人で遊びに来たわけではありませんからね」とメテオラに向かってそう言った。


「わかりました。エランさま。それで僕たちはこれからどこに行くのですか?」ともぐもぐと口を動かして美味しいパンを食べきってから、メテオラは言う。

「図書館です。大図書館と呼ばれている大きな建物の中。その建物の中に目的の人物がいます」とエランさまは言う。

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