てんとう虫と超能力者たち

なかたろう

プロローグ

母は生まれつき持病があり、身体が弱かった。



幼き少女に母は言った。


紅天くれあはね、てんとう虫みたいに幸せを運ぶようにみんなを幸せにして欲しいっていう意味を込めてお父さんとつけたの」


てんとう虫。

天道虫とも書き、紅娘でも読まれる。

大嫌いな母と父はそのどっちもの片文字を取り紅天くれあにしたのだと彼女は思う。



母はそれを最後に息を引き取った。


とても嫌いであるのと同時になぜだろう、実感がわかなく自分でも疑問に問いた。


なんで…私、泣いているの?


幼き少女は母親の病室ではなく、病室を出た外で年齢らしく大声で泣くのではなく、しくしくと声を堪え唇を噛み締め泣いていた。


「なんで大声で泣かないの?」


少年は少女の前に姿を現し問いた。

小さな声でぐすぐすと泣く少女はこう答えた。


「…泣く予定じゃなかったの」


育てて貰ったことに感謝はしていた。だけど私を産んだことに生存していることには恨みを持っていた。

泣く私に彼は笑って箱をくれた。


「君に僕からのプレゼント」

「これ、君にあげる。これが似合うお姉さんになったらまた会おうね」


そう言って彼は走って去ってしまったのだった。

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