第113話:追討軍2

 教団が派遣したスライム従魔士を追う事は難しくはなかった。

 敵はこちらのスライムを奪う事に全力を傾けていた。

 だからこそクランで最弱の従魔士を狙ってきたのだ。

 クラン最弱の従魔士はほぼ全員が街の中に住んでいる。

 危険な冒険者などしていない。

 治癒魔術を使った治療家として生活している。


 街中で襲撃するのだから、見ていた人間は沢山いる。

 全員を殺そうとすれば抵抗されるし時間もかかる。

 クランのスライム従魔士は最弱でも、街中には強い者がいるかもしれない。

 そんな連中と戦うよりは直ぐに逃げる作戦を選んでいた。

 確かにそれが正解だ、時間がかかれば各地のキングやロードが追撃する。

 現に俺はこうやって即座に追討軍を派遣した。


 現場を見た人間から証言を聞くのは各地のスライムだ。

 俺の従魔となっている拠点スライムから1頭のレベル1スライムを送ればいい。

 そのスライムが証言を聞き俺とサクラに伝えてくれる。

 それを俺と繋がっている追討軍スライムに伝える。

 確実に追跡できている感覚がある。


 スーニー王家も危機感を持ったようで、王国軍を総動員して追撃している。

 ただ相手はサクラの能力を引き継いだスライムを従魔にしている。

 弱い兵士を数集めても意味がない。

 精強な兵士が集まった精鋭部隊でないと返り討ちに合うだけだ。

 だから精鋭部隊にレベル2ヒュージスライムを付けた。

 敵は正面から戦う気がないだろうから、逃げ道を塞ぐことは可能だ。


 冒険者ギルドにも依頼を出して、サクラの能力を持ったレベル2ヒュージスライムを確実に斃せるパーティーを編成して追撃してもらった。

 金に糸目をつけずに莫大な報酬を約束して臨時の合同パーティーを編成して、確実に敵を追い詰めていく。


 最初に追いついたのは、レベル51のスライムを従魔にしているスライム従魔士と、コボルト従魔士8人にパーティーだった。

 俺が危惧していたように、敵は逃走経路にスライム従魔士と護衛を置いていた。

 今回はコボルト従魔士だけのパーティーだが、この先にはもっと強い従魔士か軍隊が待ち構えているのは確かだった。


 9人組にはレベル2ビックスライムを分派して、本体は先を急いだ。

 この先に何人ものスライム従魔士がいるのは明らかだった。

 最低限のスライムを分派して対抗しなければ、本体が弱くなり過ぎてしまう。

 本命に追いついた時に勝てなくなっているのでは話にならない。

 

 9人パーティーなど全く相手にならなかった。

 合計35頭のコボルトが襲いかかって来たが、次々にビックが取り込んだ。

 コボルト従魔士も同じように取り込んで捕虜にした。

 食べても意味がないので捕虜にして後で活用する。

 1人逃げようとしたスライム従魔士もスライム共々直ぐに捕虜にした。

 他に隠れている者がいないか慎重に調べさせ、急いで本体を追いかけさせた。

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