第112話:追討軍
クラリスが俺の為に自分の理想を捨ててくれた。
良妻賢母に憧れていたクラリスが、女王として振る舞う覚悟をしてくれた。
臆病な俺の荷を分け持ってくれようとしている。
こんな嬉しいことはない。
だがこんな姿を見せられたら俺も勇気を振り絞るしかない。
「サクラ、ロード級を何頭追手に放てる」
「はい、この国の街道造りをしているキングの役目を中止します。
キングを10頭のロードに分離して追撃させます。
大魔境大ダンジョンの一部をロードに分離して5頭。
王都防衛用の一部をロードに分離して5頭。
王都と大魔境の間で輸送任務をしている一部をロードに分離して2頭。
私と大魔境の間で輸送任務をしている一部をロードに分離して2頭。
これで24頭の追撃部隊を編制できます」
確かにそれで敵のスライム従魔士24人を追う事ができる。
だが敵はそのまま逃げるだろうか。
自分が支配下に置いていたスライムと合体統合させれば、サクラの同じ能力を持つスライムの数を増やすことは簡単だ。
そのスライムを途中で待機していたスライム従魔士に分け与える事ができる。
「その心配は不要です。
敵は最強でもヒュージ級のレベル2です。
こちらがヒュージ級のレベル5を派遣すれば確実に勝てます。
最弱はビック級のレベル1です。
こちらがビック級のレベル3を派遣すれば確実に勝てます。
数に不足はありません。
と言っても、不安なのでしょうねアレックス陛下」
サクラの性格が変わっているのか?
俺の考え方の変化に合わせて変化するのか。
それとも進化しレベルが上がった事で独立心を持ったのか?
そうだとしたら俺の支配から抜け出す兆候だよな。
それは思いっきり危険じゃないか。
でもこんな考えも筒抜けなんだよな。
「心配されなくても大丈夫ですよ、アレックス陛下。
私が進化しレベルアップするごとにアレックス陛下の能力もアップしています。
私が次の進化をしてもアレックス陛下の支配から脱することはありません。
ですが心配なら進化はキングまでにとどめておけばいいのです。
キングまででもこの世界ではほぼ無敵ですから」
確かにサクラの言う通りだ。
自分に自信が持てずサクラが信じられないのなら、キング以上に進化させなければいいだけの話だ。
キング級を数多く従魔にしていればそれですむことだ。
そんな事よりも今は早急にしなければいけない事がある。
「まずはさっき決めた24頭を追撃軍、いや勅命の追討軍として派遣する。
サクラからも10頭のロードを分離して追討軍を編成する。
更にベビーの成長を早めて少しでも多くのロードに合体統合させる」
「承りました」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます