第83話:スライムの特性
女々しくクラリスに連絡を入れないように、砦町の建設に集中していたのだが、ある程度の指示を出すとサクラが全部やってくれてしまう。
いや、俺がサクラが伸ばした身体の一部から現場の映像を見て、サクラが俺の心を読んで建築してくれるので、現場に行く必要もなくなってしまう。
そこでスライムの検証実験をすることにした。
多くの検証実験を繰り返してきたが、ラノベやアニメの知識を参考にして、単食で育てたスライムがどんな進化をするのかはある程度分かっていた。
だが、経験値が手に入らない草木や鉱物だけを単食させていたスライムの検証実験は、丁度いい強さのゴブリンと戦わせて戦闘経験値が得られると分かるまでは、停滞してしまっていたのだ。
だが今では単食を続けながらゴブリンと戦わせてレベルをあげられるので、アイアンスライムやロックスライムなどが徐々に1頭のスライムからビッグスライムに進化してくれるようになっていた。
そこで分かった事は、ラノベやアニメのように身体全体を鉄や石に変化させる事は、この世界のスライムには不可能だという事だった。
だがとても役に立つ事も分かったのだ。
単食を続けさせたスライムは、土や木や生体の中から単食を続けた成分を集めることができるのだ。
例えばカッパースライムは人間の身体の中から銅だけを取り出すことができて、アイアンスライムは鉄だけを取り出すことができるのだ。
ただ生きている相手から取り出すには強い力が必要になるので、必殺技として使えるかどうかはレベル差によるのだ。
それくらいなら他のスライムに戦闘を任せた方が簡単に敵を斃せる。
ただ防御の技として、未消化の銅や鉄を身体の一部に集めて盾に使う事は可能だと分かったので、本来のスライムの持つ防御力と併用すれば、とても殺され難くなる。
そこでさらに一歩進んだ実験をすることにした。
この世界でも銅よりも鉄の方が数多く存在しているようで、鉄を単食させてアイアンスライムにしてレベル上げしてる実験体の方が、カッパースライムやシルバースライムよりも多かった。
その中で最もレベルの低い、レベル27のアイアンスライムに、サクラから分離した全てのスキルを持つレベル1スライムを合体統合させてみた。
割合がよかったのか、レベル27のアイアンスライムはレベル28のスライムにはならず、レベル28のアイアンスライムになった。
しかも全てのスキルを持つレベル28のアイアンスライムになってくれた。
今までの検証実験から予測できた事だったが、これでやれることの幅が大きく広がり、レベル28アイアンスライムに鍛造をやらせてみた。
元々あった能力で集めた鉄を、新たに得たの多くの能力、特に火炎魔術と剣術戦斧術を使って鉄を鍛え、鋼というべきか刃金と呼ぶべきか、鍛造剣を作り出せるスライムにすることができた。
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