第42話:謀略・クラリス王太女視点
さて、色々と確かめなければいけない事があります。
キングスライムに進化したサクラがどれほど賢いのか。
サクラのアレックス様に対する忠誠心はどれほどなのか。
万が一にもサクラがアレックス様に逆らうようなことがないと、婚約者として確認しておかなければなりません。
「サクラ、私の言っていることが分かりますか。
私の話を聞き返事をすることができますか。
アレックス様に関するとても大切な相談をしたいのです。
アレックス様に禁止されているのでなければ、返事をしてください」
「何事ですか、クラリス王太女殿下」
私にも返事はできるようですね。
フェリシティ達も動揺していないようですから、予測していたのでしょう。
私がこれから口にする事も予測しているでしょうから、隠す必要もありません。
「アレックス様のためにジェームスを殺したいのです。
事故に見せかけて殺してくれませんか」
「申し訳ありませんが、その提案を聞く事はできません。
アレックス様に無断で何かをする事は、従魔にはできないのです」
なるほどね、私に嘘をついていないのなら、サクラがアレックス様を命令なしに独断専行する事はないと確認できました。
「では、アレックス様に献策してくれませんか」
「申し訳ありませんが、その提案も聞けません。
ジェームスを殺す事には、利点もあれば欠点もあります。
アレックス様はその両方を考えて生かす方を選ばれているのです。
従魔の私が口出しすべきことではありません。
明らかな利点や欠点があれば、アレックス様のために何かを献策する事も厭いはしませんが、今この件で献策すれば信用を損ないます。
本当に必要な時以外に余計な献策はできません」
サクラは本当に賢いようですね。
大切な献策を重視してもらうために、不要な献策をしないだけの分別がある。
今回のジェームス謀殺の利点も欠点も理解しているのでしょう。
ひとまず安心できましたが、念のためにもう1つ聞いておきましょう。
「そうですか、それならば仕方がないですね。
ただ念のためにサクラの考えを聞かせておいてください。
サクラはアレックス様がどうされるのが一番いいと考えていますか。
リークン公爵とジェームスを殺して公爵家を継ぐ方がいいと考えていますか。
それとも幽閉して公爵家を継いだ方がいいと考えますか」
「私の個人的な考えでは、家臣にリークン公爵とジェームスを幽閉させるべきです。
それに派閥貴族が加わっていれば最高だと思います」
少々腹立たしいですね。
私はアレックス様の手で幽閉させる事までは考えていましたが、家臣に幽閉させてアレックス様を迎えさせる事までは思い浮かべていませんでした。
アレックス様の武勇を大陸中に広めることに眼が行っていて、リークン公爵家の掌握にまで眼が行っていませんでした。
サクラに負けるわけにはいきません、もっと広い視野を持たなければ、アレックス様の婚約者失格ですね。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます