第12話:ゴブリン集落の索敵とロードスライム

 俺の可愛いスライムがヒュージスライムからロードスライムに進化した。

 種族がキングスライムではないので、更なる進化が期待できた。

 大魔境の奥に索敵に入った事で、一気に成体スライムの匹数が増えた上に、個々の成体スライムのレベルが上がったお陰だ。

 次の検証すべき事は、合体統合ではないレベルアップで、スライムがビックスライムに進化できるのかどうかだった。


 今一番レベルの高い成体のスライムは、レベルが53だった。

 この子のレベルが100になって単独でビックスライムに進化するようなら、低レベルの成体スライムは合体統合でロードにして、高レベルの成体スライムをビックスライムに進化させる事ができるのなら、10匹以下のビックスライムを合体統合させる事でヒュージスライムにする事ができるかも知れない。

 今依頼を受けているゴブリン集落の調査よりも、それを早く確かめたいと思ってしまっていた。


 A級パーティーの忍者が停止の合図を出していた。

 全員がその場にとどまる中で、斥候職の者達だけがさらに進んでいった。

 俺はその場で待つ間にロードスライムに進化した子のスキルと能力を確認した。

 進化してもノア達に襲われた時に得たスキルは忘れていなかった。

 何よりも大切だったのは、初めてスライムを従魔にした時から教え込んでいた、山窩の天職と採集レベルだった。

 身分に捕らわれることなく仲良くなった、山の民の子が教えてくれた技術だけは、絶対に忘れたくなかったのだ。

 

 1人の忍者と3人の斥候がゴブリンの集落に近づいている。

 どこまで探れるかは分からないが、いざという時の準備は整えておく。

 ロードに進化したスライムの身体の中には安全な空間があり、そこには成体に成長していないベビースライムやリトルスライムがいる。

 確実に勝てる弱い虫や魔蟲や与えて経験値を稼がせているスライムと、一定の食べ物しか与えず、経験値を与えなくても成長だけで成体スライムになるのか検証中のスライムもいるが、そこにレベル53のスライムを筆頭に高レベルのスライムを放つ。


 ドジを踏む斥候がいて、ゴブリン達と戦いになる事を期待していた。

 強力なロードスライムによって武装解除されたゴブリンを、高レベルスライムに次々と斃させて、レベルが100になったらビックスライムになるか確かめる心算だったのだ。

 別にレベルが100になってもスライムのままならそれでもいい。

 レベル100のスライムは、合体統合した時に100匹分の成体スライムに換算される事が分かっていたので、10匹を合体統合させればヒュージスライムになる。


 それに、1匹のロードスライムから別れた成体スライムが、合体統合して新たにビックスライムに進化した時に、覚えていた天職やスキルを忘れるのか確かめたい。

 少なくとも分離した時には忘れないのは確かだ。

 試しにさっき初めて合体統合したレベル1のスライムを分離させてみたが、天職もスキルもそのまま覚えていた。


 スライムは物忘れが激しいから、直ぐに天職とスキルを忘れてしまうかもしれないが、安全地帯で繰り返し練習させて忘れないようにしておけば、天職とスキルを覚えさせたスライムを1匹でも生き残らせれば、主人である俺も天職とスキルをずっと保持し続けられるかもしれないと。

 そんなことができたとしたら、最弱天職と言われているスライム従魔師が、最強職として扱われるかもしれないのだ。


 そんな事を考えながら、他の冒険者パーティーに分からないようにスライムの本体を遠くまで伸ばして、薬草、毒草、香草、野草、虫、魔蟲、獣、魔獣を集めさせて、ロードスライムの身体の中にいるスライム達に与えて成長させていた。

 しばらくそんな事をしていると、忍者達が戻ってきて撤退の合図を送って来た。

 かなり悪い状態のようだが、果たしてどうなる事か。


「ロードスライム」 

種族 :ロードスライム

主人 :アレックス・リークン

名前 :サクラ

レベル:1

総数 :10276匹

天職 :剣士レベル5 

   :槍士レベル5

   :弓兵レベル3

   :山窩レベル9

体力 :1076539

魔力 :1737258(主人の魔力を借りれば無限)

攻撃力:1232298

防御力:1000000(剣と防具の使用により変わる)

俊敏性:1017342

スキル:貪食レベル9・剣術レベル5・槍術レベル5・弓術レベル3・採取レベル9


「レベル1状態のスライムの最低基準」


「ロードスライム」 

種族 :ロードスライム

レベル:1

体力 :1000000

魔力 :1000000

攻撃力:1000000

防御力:1000000

俊敏性:1000000

スキル:貪食

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