初めて
「何でだよ」
そう言われて当たり前であろう。
どれだけ自分勝手な女なのだろう。
「それに」
自分の身勝手さと永岡に悪い事をしたという罪悪感に苛まれているその時、永岡の手が不意に私の頬に触れた。
「な、何?」
「俺はお前とやりたいと思っている」
やはりというかなんというか永岡は永岡だったのだろう。
予想通りのヤリ◯ンだったと言う事だ。
しかし産まれてこのかたこと異性に関しては可愛いや綺麗といった言葉も無ければこのように直接女性として求められた事も当然無かった私はセックスに対する興味と女性として見てもらえたという興奮により頭のネジが飛んでしまったのだろう。
気がつけば永岡とそういう事をするホテルへと向かっていた。
◆
現在事が終わり彼の物を私の口で綺麗にする音だけが室内を満たしていた。
はっきり言って夢の様な現実でないようなそんな気分である。
しかしもう処女では無いという事実だけは下腹部からくる痛みにより、しっかりと意識する事が出来た。
その間永岡は私の頭を優しく撫でてくれて────
「お前………凄く可愛いな」
◆
───やられた。
頭では私なんか無理だって事は分かっているのだけれどあの時言われた「可愛い」の一言で私の心は鷲掴みにされた。
現在学校で永岡の姿を無意識に追っている程である。
一回寝ただけで彼女面する女性の気持ちが嫌でも分かってしまう。
我ながら単純であると嫌になる。
「永岡ー聞いてよー!!」
気軽に永岡と会話する女性の声を聞くつもりが無くても私の耳は拾ってしまう。
しかし私は嫉妬よりも羨ましいという気持ちが出てきてしまうあたり戦う前から負けているのだろう。
私みたいな女がどうやったら永岡を落とせるのか、すこし考えて見たのだが───どうやっても無理だった。
「永岡ー、今日一緒に放課後デートしよー?」
「何でだよ」
愛嬌もあり美人という、私と真逆な人間が彼女とか……てか既に彼女いるし。
「はあ……」
「はいみんな席に付けー」
私のため息は先生の号令と共に消えていった。
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