演者

わたしは舞台に立っていた。


ただそれだけがわたしの全てであった。


それはわたしがわたしで無い誰かに成れる唯一の場所。


そこは誰かのこころを揺さぶることができる。


誰かが描いた物語が紡がれる舞台。


それを演じるわたしは、わたしでいられない。


それが心地よかった。


空っぽのわたしを満たす場所。


さあ、あなたはどんな物語を演じさせてくれるの?


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