薬師の話

こんなところまでよく来たね。


ゆっくりしていくがよい。




きみを送ってきた人のことはよく知っている。


ここも、あの人の管轄だからね。


これで今日の仕事はおしまい。




きみに教えることはない。


わたしの技術を教えることは出来ない。


何故なら、わたしのこれに技術なんてものは存在しない。


ただ延々と知識を詰め込むことで、わたしの領域に到達できる。


しかし、わたしの知識を超えることがどれだけ大変なのか。


わたしはそれを知らない。


知識を詰め込んだだけのわたしを超えることは容易なはずなのに、それを超える人物に会うことができなかった。




さて、きみには分からないことが多いだろう。

それでいいんだよ。知らないことを知る。それがきみにとって大事なことだ。

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