槍士の話

あの老師が言いたいことは某にもわかる。


老師も某も武の道を歩いてきた者であり、お主やお館様とは違いその道を極めることを考えてきた。


しかし、ある日辿り着いてしまった。


なんであると思うか?




それは大きな壁ではなく、行き止まりであった。


そう。行き止まり。打ち止め。


某が辿り着ける限界。


しかし、それは某が槍術一つだけしか知らないからこその限界であった。


ここで某はひとつの限界を超えることができた。


そして、新たな世界を知ることができた。


某はお館様に感謝してもしきれぬ。


お主も気づくときがいずれ来るだろう。




一息ついて、一歩引いてまわりを見る。そうした時に初めて自分の実力を知ることができる。

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