第15話 マツリ

翌日

「今週の土曜日は、学校に10時に集合し、西町の宝部たからべ稲荷神社の例大祭に行きましょう。その後、17時くらいから若篠宮公民館で地域の人と初合わせしてみましょう。」と公良先生が言う

宝部稲荷神社の例大祭は、町内会活動が活発な西町で子供たちの尻相撲や出店などが多く並ぶなど市内では大変珍しく盛んな例大祭となっている。

そして、その後の公民館での初合わせだが、中々都合が合わなく地域の人と顔すら合わせていない状態だった。

初の発表は10月なのでそれまでに仕上げなければならないので、プレッシャーは当然ある。が、なんとかなるという自信がどことなくある。


土曜日

「10時になりましたが、紗希さんが居ませんね…どうしたんでしょうか」と公良先生が聞いてきた。

「さぁ、寝坊したとか?」と答える。

「まさか、それはないでしょう…」と公良先生が返し、皆でわらいあった。


例大祭

「おぉ、尻と尻のぶつかり合い、ソソルモノ…いや、なんでもありません」と冨岡さん

「素直になったらどうです?いやぁ、良いですな。若い衆のぶつかり合いは…」と大蔵さん

「いや、別に大蔵さんも素直では無いのでは…?」と困惑している紗夜さん

正直、何言ってんだろと思った。

「あ、紗夜さん、紗希さんって今何してるか分かります?」と質問した。

「いや、分からないわね。けど、鎌崎の人間を許すなとかなんとかブツブツ言ってたわね…」と困り眉で紗夜さんが答える。

「そうですか…。ありがとうございます。」と言っておく。

別に何もありがたくないが


初合わせ

初めて地域の方とお会いした。なかなか歌のテンポと太鼓のテンポが合わなかった。単純に練習の時とテンポが違うからなのだが、日によってテンポが変わるらしいので、多分慣れるしか無いのだろう。ツラい。

「みなさん!私の妹の紗希が家にいないの!連絡しても返ってこないの!どうか、探してください!」と紗夜さんが冨岡さんや大蔵さんと共に焦りながら訴えてきた。

「分かりました。生徒は帰しますが、地域の方と私とで協力して捜索そうさくしましょう。さぁ、生徒の皆さんはお家に帰ってください。」と公良先生が言った。

解散したが不安は消えなかった。まさか、あんなことになってるとはこの時、思いもしなかったのだ。

-続く-

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