第7話 当日

今日は、11月15日。おんそれ送り当日だ。

リハーサルは14時からなので、それまで鬼柏神社と広尾神社の間の道路にある露店で遊ぼうという話になった。

ちなみに、鬼柏神社にはムカサリ絵馬という所謂いわゆる、冥婚-死後の世界で結婚した姿を描く文化-を描いた絵馬や戦争で亡くなった人達が凱旋がいせんした姿を描く凱旋絵馬といったものが奉納されている。

平尾神社は古墳跡こふんあととされる小高い丘に建立されている。境内にある狛犬には、村内・安全とそれぞれに書かれている。

灯篭とうろう のようなもの-正確には違うが-には大正時代に建てられた当時の吉宮村御三家の当主の名が刻まれている。

…と、ここまで独白というか独り言を言っているので1人で露店回りをしているのではないかと思われているかもしれないが、ちゃんと部活メンバーもいる。

ニナが「唐突に説明し始めてビビった…けど、観光案内の仕事をしたいならその練習にもってこいだよね」とか言っている。

いや、普通に観光案内はSNSとかでやるけど、そういう仕事に就く気はそんなにはないぞ…と心の中でつぶやく。

そして、花南さんが「まぁ、そういうのは優くんよりはニナちゃんの方が向いてるでしょ」とフォローみたいなのをしてくれる。

ありがたや、ありがたや…

萌里さんが「お!金魚すくいあるじゃん!やろ!」と大はしゃぎしている。

そして、露店回りをし楽しんでいるところに例のシャッター音が…

「やぁ、いつもどうり楽しそうにしてるねぇ…僕も混ぜてよ」と富岡さんは言う。

「イチローさん、私のことを忘れずにね…?」とあざとく紗夜さんがいう。

正直、目の前でイチャイチャされると目のやりどころに困るのだが…

「あ!もうリハーサルの時間が来ちゃうよ!」とニナがいう。

流石、マネージャー。

…そして、リハーサルで地域の人、そしてメンバーと調子を合わせ、無事本番を成功させることが出来た。

見に来てくれた方々の拍手がとても嬉しく感じる。

この時は、まさかあんな事になるとは思いもしなかったのだが…

-続く-

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る