キシリトール
にら
キシリトール
『どうした今日元気ないじゃん』
「飼ってた犬が、他界しまして」
『それはお気の毒に、病気とかだったの?』
「いや、そうではなく、間違えてキシリトールを食べてしまって...」
『キシリトール!? キシリトールって、ガム?キシリトール入ってる食べ物ガムしか知らない』
「あの、キシリトールの粉が...私がキシリトールの粉末をあんなところに置いていたから...ウッ」
『あっ、まずキシリトールって普段は粉状なのね』
「キシリトールって美味しいんよな〜 こう、下から炙って、煙を吸う」
『いや、ちょっとまって、それは覚せい剤の吸い方じゃん。ほんとにキシリトール?覚せい剤じゃなくて?』
「ちょっと前、タピオカ流行ったじゃないですか」
『まあまあ、流行りましたけど、それより私は相方がキシリトールやってるかもしれないのが怖い』
「あのストローが最高なんですよ。あの太さ、絶対キシリトール吸う為に作られた」
『絶対タピオカの為!そのストローもまさかキシリトール吸うのに使われるとは思ってなかったろうな。タピオカストローの気持ち、考えたらやるせないわ』
「私はその日も、キシリトールを吸っていました。キシリトールを吸って気持ちよくなっていた私は、近づいてきている韮の気配に気が付きませんでした。韮は私が置きっぱなしにしていたキシリトールの缶に頭を突っ込み、夢中になってキシリトールを舐めていました。私はそれにも気づかず、キシリトールの余韻に浸っていました。我に返り振り向くと、韮が苦しそうに息をしていました。韮!韮!と大声で叫んでも韮は吠えるだけです。急いで動物病院に連れていこうとしましたが、私はキシリトールを吸った直後だったので歩けません。そのまま韮は死にました。」
『やっぱりダメなものはダメなんですよね こういうことがあるからキシリトールは法律で禁止されてるのに、破るとろくな事ないですからね 』
「(肩を叩く)」
『何?』
「キシリトール、法律で禁止されてないです」
『ほんとだな!?なんなんだこれ、なんで私が吊られてるんだ。でもキシリトールめちゃくちゃ危ないじゃんか』
「だから私、キシリトールやめよ思って、韮の骨と一緒に庭に埋めた」
『それは偉い』
「でもすぐ掘り返してしまって、そしたらキシリトールと一緒に韮の骨が...出てきて.......」
『やっぱ持ってたの韮の骨だったのか』
「そうなの。ほんとはこの漫才、あんたが何持ってきてるねん!ってツッコんで始まるはずだったのに、でもあんた優しいから私が元気ないことに先言及したじゃんか、そしたら偶然にも話繋がってしまったからそのまま続けました」
『すいません。話始まってもうてるからもうツッコまなくていいかな思ったんですけど、流石にお客さん気になるかな思いまして』
「(ペコペコニコニコ)」
『で、キシリトールはもう辞めれたん?』
「いや、なんなら今日も吸ってきたし、時間的にたぶんそろそろ目眩くると思う」
『バカ!一番あかんことしないでほんとに、てかキシリトールてなんなんだ。私らガム食べてもそんなならないのに』
「.......」
『あ、切れた』
「.......」
『昨日の夜充電のコード差し忘れてたんですよ。危ないかなと思ってたんですけど、やっぱダメでしたね〜。すみません漫才中に、失礼しますね(コードを刺す)』
『ちょっと相方いっちまったのでいいますけど、飼い犬の名前韮って何?しかも韮って犬が食べちゃいけないで有名なやつ!それならチョコレートの方が犬って感じするだろ』
「.......」
『結局キシリトールってなんなんだ...』
「キシリトール は化学式 C₅H₁₂O₅ で表される、キシロースから合成される糖アルコールの一種...」
『急にSiri出さんといて 呼んでないから』
「すみません よく分かりません」
「.......」
『また切れた そろそろ替え時かな〜』
『どうもありがとうございました〜』
キシリトール にら @dmw_147
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