第4話
行くかどうか、迷った。
電子空間だけの付き合いだけど、自分は彼女の事を知っていた。というか、隣の部屋。
仕事柄、正義の味方と組んだり街や国と組んだり、とにかく情報量の多い毎日を過ごしている。
そのなかで、たまたま、ログイン先の彼女が自分の隣の部屋だということを知った。
彼女。情報処理の化け物だった。街と国から送られてくる膨大な重要データを、それとはしらずにひとりで捌ききっている。本人は普通の打ち込みの仕事だと思っているのだろうが、その正確性と電算処理能力は他に類を見ない特異なものだった。スーパーコンピュータが全ての組み合わせを長い時間を掛けてつぶしていくようなものを、彼女は一目見ただけで結果を出してしまう。
自分が国と街を相手取って大立ち回りしている間、彼女はずっと送られてくるデータと格闘していたはず。
ログイン状態だけが表示されていて、動きもなければ声もしない、ゲーム画面。
どうしようか。
彼女。
隣の部屋だけども。
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