宇宙の上から

勝利だギューちゃん

第1話

人は死んだら、お星さまになるという。

俺には、そんな少女趣味はない。


だが・・・


気休めでも、なんでも、時にはそう思いたくなる。


大好きだった父。

煙たく思うこともあったが、とても尊敬していた。


ゴルフとお酒が大好きだった。

父の日には、毎年ゴルフボールを贈っていた。


他に贈った記憶がない。


今頃、向こうでゴルフとお酒を楽しんでいるのだろうか?


そして、最愛の彼女。

運命とは時に皮肉。


親父とは違い、何の前触れもなく、逝ってしまった。

車という凶器に、殺された。


ドライバーは、高齢者。


彼女の最後の言葉は、「待ってるからね」だった。

その日は、彼女の誕生日。


お祝いをする予定だった。


俺の愛する、ふたりの人。

親父と彼女。


このふたりは、俺が妬くほどに仲が良かった。

まるで本当の、父子のようだった。


もし、星になったふたりがご近所だったら、仲良くしているのかもしれない。

ただ・・・


少し、面白くない。


『大丈夫、お前の彼女は、とりゃせん』

『大丈夫だよ。私にとっても、お父さんだから』


どこからか声がしたが、気のせいか・・・


『お前が、こっちに来た時、結婚式をやろう』

『準備がかかるから、ゆっくり来てね』


気のせいだろう・・・


『ただ、お前はお前の人生を、きちんと歩め』

『合格したら、結婚してあげる』


監視されているみたいだな。

でも、それもいいか。

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宇宙の上から 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu

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