柊優子視点 当事者じゃ無いけど


「望美先輩って、竜ヶ崎先輩とも付き合っていませんでしたっけ?」


「それは違うのぅ。竜ヶ崎が勘違いしてストーカーになっただけよぉ?」


「そうなんですか?てっきり、付き合っていたけど竜ヶ崎先輩がのめりこみ過ぎてストーカーになったと思ってました」


望美は全く悪く無いのに、そう勘違いされるのはおかしい。だけど、望美がモテるのは事実だ。水谷くんと付き合ったのはすぐ広まったみたいだけど、その前に竜ヶ崎先輩と付き合っていたと思っていたのかな?


望美の味方をしたいけど、それじゃあこの子は1人になっちゃいそう。やっぱり、味方してあげなきゃね。


「わたしの誤解だったんですね。でも、水谷先輩と望美先輩と、亜香里さんが3人で付き合ってるのは事実なんでしょう?

正直、気持ち悪く無いですか?ハーレムでも目指しているんですかね?」


むむ!?聞き捨てならないなぁ。水谷くんがハーレムを目指してるわけじゃないのはわかる。姉妹はどっちも嫉妬深いし、水谷くん本人もあんな感じだし、3人の中だけで完結してる話なのだ。


だから、周りがどうこういう話じゃないんだよね。ま、わたしは恋バナ聞けるから楽しいけど。


「わたしも混ぜてって言った時あるけど、やんわり断られたのよぉ?あの3人はハーレムなんかじゃないと思うのぅ」


月城さん、混ざりたかったんだ笑


まぁ、でも望美と月城さんって、お弁当とかでよく張り合ってるし、望美は絶対に月城さんを入れたくないだろうなぁ。


「普通、付き合うなら一対一じゃないですか。そりゃあ、男同士とか、女同士とか、カップルは色々ありますけど。3人って・・・歪ですよね?わたしの言いたいこと、わかりますか?」


「愛の形が歪だと言うのなら、わたしと竜ヶ崎の関係もなかなか歪よぉ?」


「えっと、・・・あれは竜ヶ崎先輩をペットにして月城先輩が遊んでいるだけでは?」


「そう見える?見えるわよねぇ。でもね、わたしのぅ、愛の形はこれしかないのぅ」


「別に今は、月城さんの付き合い方をどうこう言いたいんじゃありません」


「男性2人に告白されたら、長谷部さんはどうするのぅ?」


「・・・・・・どっちかとしか付き合いません。どっちとも付き合わないかもしれません」


月城さんが、水谷くんに同情している部分が見てとれた。水谷くんがどっちかにちゃんと早く決めなかったのが悪いんだけど、それはもう、わたしの中では解決してるんだという認識。


だって、水谷くんは誰にもできないことをやってるんだもん。女の子2人と付き合ってるんだよ。それを二股っていうのかもしれないけど、ちょっと違う。


3人が、納得して付き合ってるってことが、ものすごく重要なの。


あ、わたし今良いこといった気がする。うん、そうだ。


おっと、黙ってたらこの子に味方してることにならないなぁ。助けてあげよう。


「月城さん、意地悪な質問しないの!誰だって、当事者になってみないと、わからないでしょう?」


「あらぁ?柊さん。黙っていれば何も言わなかったのにぃ。そんなにわたしと喧嘩したいのぅ?」


いやああああああ!!!容赦無く来そうで怖いいいい!!


「俺はさ、もし女子2人に同時に付き合ってって言われたら・・・どっちも誠実だったら、どっちとも付き合いたいな」


「薫くんは黙っててぇ?透けブラ見放題だからって調子に乗ってるんじゃないわよぉ?」


「ひいいい!すみません!」


半袖姿の女バスの面々が一斉に胸を隠し始める。


薫くん、助けようとしてくれてありがとう。でも月城さんは、わたしと戦いたいみたい。


これ、今更ごめんなさいしたら許してくれるのかな?そんなわけないよね?


「わ、わたしはっ!色んな恋バナが聞ければそれでいいからっ」


「そうよ。だからあなたは当事者じゃないわぁ。水谷くんやノゾミン、あかりちゃんの気持ち、考えてる?ちょっと仲良いからって舞い上がってぇ、馬鹿じゃないの?」


「は?望美を陥れようとしたあなたに言われたくない!今だって、どうせ望美に恩を売って学年一位目指すつもりなんでしょう?自分のことばかりじゃない!」


「・・・ッ!人を助けた気になった偽善者のあなたが何を言おうがぁ、響かないわねぇ。学年一位の友人を持って変わったつもりぃ?だから、あなたは・・・」


何を言おうとしてるの?やめて?ヤメロ。おまえなんかに言わせてたまるかっ!


「そこから先を言うなら、わたしはあなたを許さないっ!!」


「ちょ、ちょっと・・・先輩方、喧嘩しないでください」


「柊、月城もちょっと落ち着けよ」


熱くなっちゃった。自分のことが、うまくいかないからって、望美のことまで巻き込んで話しちゃった・・・。


「それで、そこの一年さん、何で今回、こうなっちゃったか、わかる?」


金森先輩を介抱していた瑞稀先輩が、諭すような話し方でこちらに近づいてきた。


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