上田のやる気
「おい!上田!ドライブもしろって言ってるだろ?シュート打ちたいなら他の選択肢を増やせ!」
「わかってますよ!まぐれシュートの先輩に言われたく無いです!」
「そんなんじゃ、第一シードに勝てねぇぞ!?」
「ちっ!どいつもこいつも好き放題言いやがって!!先輩、もう一本お願いします!」
俺は、上田とのハーフコートでの一対一を何度も繰り返す。
地区予選で一年ルーキー、ノーマークだった上田は、このチームのポイントゲッターだった。
だけど、県大会は甘く無い。そして、最初に俺らが当たるのは優勝筆頭の第一シード校なのだ。
上田が点を取れなければ、うちは絶対に勝つことはできない。だからこそ、上田に俺は厳しく言う。
「シュートチェックされただけでビビるなよ!絶対決めるっておまえ言ったよなぁ!?」
「先輩にビビるわけないじゃないですか!キス魔はさっさとコートの外でちゅーでもしててください!」
「このやろうっ!」
俺が精一杯伸ばした右手を掠めて、上田のシュートが入る。相変わらず、スリーポイントシュートだけはバケモノみたいなやつだ。
「先輩、俺、勝ちたいです」
「俺もどーせやるなら勝ちたいよ」
「第一シード校に同じ中学のやつが一人、いるんですが、そいつはスタメンで出るはずです。勝ちたいんです」
「なんだよ。そういう燃える要素は早く言ってくれない?」
「言うタイミング無かったの先輩のせいですからね!?やっぱり殴ってもいいですか?」
「約束が違うぞ!?」
「ちくしょー!!俺はバスケで名前を呼んでもらうんだぁぁぁぁぁ!!」
何があったかはわからんが、上田のやる気が凄い。怪我だけはしないでね?頼むよ?
反対のコートの亜香里をチラッと見る。ハーフコート4対4をしている。相変わらず、亜香里のノールックパスが冴えてて、誰も止められない様子だ。
「先輩、もう一本行きましょう!」
「おまえの強烈スティールでボール失うの、かっこ悪いんだよなぁ」
「かっこよさ気にしてる先輩、ウザすぎですね。やっぱり足踏んどきます」
ダン、ダン!
「あっぶな!やめろよ上田!」
「冗談です」
顔が笑ってねーぞ!
あーもう、今日はとことんこいつの練習に付き合ってやるわ!
ーーーーーー
練習後、相澤先生から話があった。
来週の火曜日からの県大会は、勝っても負けても、一泊だけ旅館に泊まるらしい。
「男女一緒の宿になるから、あまり羽目を外すんじゃないぞ?」
ん?なんだって?
「くれぐれも、変なことはしないでくれよ?水谷」
先生、俺を名指しで言わないでくださいよ。俺、旅館で全裸で歩いたりしませんって。
待てよ?
男女一緒ってことは、望美も亜香里も一緒なのか!?
オーマイガッ!!
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